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2023.02.14IPEU:商標「PHILADELPHIA」vs 「VEGANDELPHIA BY YOGAN」に関する事例


EU:商標「PHILADELPHIA」vs 「VEGANDELPHIA BY YOGAN」に関する事例

EUIPOにおけるケーススタディ(概要)を紹介する(番号:CANCELLATION No C 47 377 (INVALIDITY))。

欧州連合商標(EUTM)「VEGANDELPHIA BY YOGAN」の登録の件である。
当該商標は緑色のスタイライズされた書体から成る(下記イメージ参照)。
文字“I”は葉っぱ型の図形で表されており、「VEGANDELPHIA」の下に文字“BY YOGAN”が小さいフォントで表示されている。
第29類における登録であり、cream spreads, fats, vegetable oils, vegetable extracts等を指定。
権利者はポルトガル企業のCosta and Casimioである。

 

商標「VEGANDELPHIA BY YOGAN」の登録は、EU、ポルトガル、スペインに先行商標登録を複数持つ文字商標「PHILADELPHIA」を根拠に、アメリカ企業のIntercontinental Great Brands LLC,によって異議が申立てられた。
これらの商標も第29類cream cheese, oils, fats等を指定する。
アメリカ企業は自社が登録する商標の著名性を多くの資料と共に主張し、ポルトガル企業は同社の商標を利用しようとしていると述べた。

EUIPOは次の点に言及した:
・両商標が指定する商品は同一/類似する。
・一方がアメリカにおける広く知られた都市名であり観念上非常に異なるものの、商標そのものは称呼および外観上ある程度類似している。
・商標「PHILADELPHIA」は、EUの多くの国々で強い販売力と市場占有率があり、また大規模な広告宣伝も行っているため、良く知られている。
・“DELPHIA”は、主張の通り人名であるかもしれないが、多くの人がこの名を持つあるいは知っているという根拠は多くない。
・後願商標「VEGANDELPHIA BY YOGAN」の最初の要素(Vegan)が記述的であることは、本件の判断に影響した。

EUIPOは混同の可能性があり、「VEGANDELPHIA BY YOGAN」が「PHILADELPHIA」の持つ名声を不正に利用し得るとした。
また、「VEGANDELPHIA BY YOGAN」は「PHILADELPHIA」のヴィーガン版であると見なされる可能性があると判断した。
それらを理由とし商標「VEGANDELPHIA BY YOGAN」の取消が決定した。


[出典:LEXOLOGY]


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