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2023.04.25IPEU:メタバース関連商品/役務でのBurberryのチェック模様の登録を拒絶


EU:メタバース関連商品/役務でのBurberryのチェック模様の登録を拒絶

欧州連合知的財産庁(以下EUIPO)は、バーチャルにおける衣服、アクセサリー、その他の役務に対する、Burberryの有名なチェック柄の出願の登録を一部拒絶した。
EUIPOは拒絶の理由として、デザインの識別力の欠如を挙げている。
EUIPOは、バーチャルの商品に関する商標出願の識別性を評価する場合、現実世界の商品に関する商標出願と同じ原則が適用されるとした。

背景
ベージュの下地に赤、白、黒のラインを縦横に組み合わせたチェック柄はBurberryの有名なデザインである。
Burberryはこのデザインを以下の様々な商品と役務について登録を試みた:
•non-fungible tokens (NFTs) or other digital tokens based on blockchain technology, (downloadable) virtual materials and goods, such as clothing and accessories (第9類);
•providing online retail services relating to fashion (第35類); and
•providing online non-downloadable digital collectibles and online video games (第41類).
Burberryは、2022年7月に初めて公表された「仮想商品とNFTの分類に関するEUIPOガイドライン(EUIPO Guidelines on the Classification of Virtual Goods and NFTs)」に従って、商品とサービスを分類した。
そのガイドラインによると、バーチャルの商品やNFTはデジタルコンテンツや画像として扱われるため、ニース分類の第9類に分類される。
「virtual goods and/or NFTs」という単体の表記は明確性・正確性に欠けるため、バーチャルの商品が関連する内容を示す必要があるともされている。
例えば、Burberryの出願の場合、「downloadable virtual goods, namely, clothing and accessories」と表記している。
また、バーチャルの商品やNFTに関連する役務は、すでに確立された役務分類の原則に従って分類されなければならないとされている。
例えば、バーチャルグッズの小売サービスは、第35類に分類されなければならない。

EUIPOの判断
EUIPOは、商標理事会規則第7条(1)(b)に基づき、出願商標は指定商品役務に対して識別性を欠いているという見解から、出願を拒絶した。
EUIPOはその決定の中で、チェック柄からなる図形商標の識別性の評価は、商品の形状からなる立体商標に適用されるものと同じ原則に基づかなければならないと強調した。
つまり、商品そのものの外観からなる立体商標は、その外観とは無関係な標識を含む場合にのみ保護されるのだ。
EUIPOは問題の商品(downloadable and virtual versions of real-life clothing and accessories/現実の衣服やアクセサリーのダウンロード可能なバーチャル版)を確認し、図形商標が商品の一部に配置されたり、商品の表面全体を覆うパターンの形で使われたりしていると指摘した。
このことから、商標は商品の外形に対応するものであり、立体商標に適用される原則が適用されると判断した。
標識に対する消費者の認識について、現実の商品を模倣するというバーチャルの商品の根幹となる側面についてEUIPOは指摘し、現実の商品に対する消費者の認識は、同等のバーチャルの商品にも適用されると判断した。
EUIPOは、Burberryのチェック柄デザインに似た柄を持つ現実の衣料品やアクセサリーを提供する様々なオンラインショップ(例:Mango、Anine Bing、Amazon)の例を示し、商標の有する柄は、指定商品にとって明白かつ典型的なデザインであり、指定商品役務の取引において一般的に見られる他の基本的なチェック柄と本質的に差異がないと判断した。
これらのことから、EUIPOはBurberryの商標は識別力を欠くため、商標として登録することはできないと結論を下した。
一方で、EUIPOはBurberryの商標はビデオゲームに対しては識別力を持つことを暗に認めている。
例えば以下のような商品/役務である:
•"downloadable interactive characters, avatars and skins; video games and downloadable video game software (第9類)"; 
•"providing online video games; providing online information in the field of computer games entertainment (第41類)".

コメント
今回のEUIPOの決定は、理論的には、バーチャル空間における商標に適用される規則や原則(消費者の認識や識別力の要件など)は作り直す必要はなく、むしろ現実世界の商標に適用される規則や原則がバーチャル空間の商標にも適用され得ることを示唆している。
このような識別力の評価に関しては、他のブランドによる有名なデザインに関する類似の商標出願(最近ではルイ・ヴィトンの「ダミエ・アズール」柄の商標出願)が却下された例もあることから、デザインに関してEUIPOが非常に高い基準を設けていることが良くわかる。
Burberryのデザインがすでに図形商標として登録されていることを考えると、EUIPOはバーチャルの商品に対する保護について、現実世界の商品よりも識別力についてより厳しい要件を適用しているようである。
なお、BurberryがこのEUIPOの決定を不服として控訴するかどうかは未定であり、控訴期間は2023年4月上旬ごろまでとなっている。


[出典:GRAF ISOLA Rechtsanwälte GmbH | European Union]


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