2023.06.27IP台湾:「商標法の一部条文改正案」が立法院第三読会を通過 早期審査制度を追加
台湾:「商標法の一部条文改正案」が立法院第三読会を通過 早期審査制度を追加
知的財産局はニュースリリースにて、「商標法の一部条文改正案」が2023年5月9日付で立法院第三読会を通過したと発表した。改正の内容は外界の高い注目を集めている。
とくに早期審査制度の導入により、急いで商標を登録したいという台湾企業のニーズに柔軟に応えることができるようになる。
商標代理人の管理制度の確立により、商標出願人の権益保障、台湾の知的財産権保護における極めて重要な一環となる。
また指示的フェア・ユースが権利侵害のおそれを構成しない状況を明示し、司法の実務的な判断原則に一致するようにしている。
今後、改正商標法が施行されることで、商標登録出願審査は柔軟性がより高く、より迅速なものとなり、また商標登録の出願人と商標権者は専門知識を有する商標代理人を選択できるようになり、これは企業の商標戦略と全体的な行政効率向上に役立つものである。
改正の重点は以下の通り。
一、商標登録出願の早期審査制度を追加
急いで商標を登録したいという国内産業のニーズに応えるほか、海外との足並みを揃えるため、商標登録出願の早期審査制度の法的根拠とその適用範囲に関する規定を追加した。(第19条、第94条、第104条)
二、商標代理人の管理制度を確立するとともに、既存の商標代理業務従事者の権益を保護
(一)商標に関する専門能力を備える者は商標代理人となることができ、商標代理業務を行うには登録しなければならないほか、商標代理人の管理措施については、関連管理弁法の制定及び(外界の検索に供するための)商標代理人名簿の設置を行う権限を商標所管官庁に与えると規定している。(第6条、第12条)。
(二)(商標代理人登録に関する)経過規定及び既存の商標代理業務従事者の登録申請の期限に関する規定を新設し、改正商標法の施行以前に商標代理業務に従事していた者の権益を明確に保障している。(第109条の1)
三、商標権者が税関から通知を受けた際の権利侵害認定手続きを簡素化
財政部関務署が水際における(商標権益)保護措置の作業手続きを簡素化したのに合わせて、(商標法でも)商標権者は税関のプラットフォームで提供される写真の画像ファイルでまずは判断し、必要があれば税関に赴いて権利侵害認定を行うことができるように修正した。(第75条)
四、適格な出願人の主体の追加
ビジネス主体による市場経営の実際の需要に応えて、パートナーシップ組織(例えば弁護士事務所、建築事務所)、法に基づいて設立された非法人団体(例えば寺や廟、協会、生産者グループ)及び法に基づいて登記された個人経営又は共同経営の商店は、適格な商標登録出願人となることができるとともに、訴訟主体の資格を取得することができると規定されている。(第19条第3項、第99条)
五、特定の状況における他人の商標の使用は、フェア・ユースを主張可能
商標権の効力の拘束を受けない指示的フェア・ユースを明確に定めている。
例えば、携帯電話及び通信機器メンテナンスサービスの広告看板に、携帯電話各社の商標を使用して、その業者がサービスを提供する他人の携帯電話ブランドを示すことは、権利侵害のおそれを構成しない使用状況である。(第36条)
近年、商標登録出願件数が成長し続けており、6年連続して年間の商標登録出願区分数は10万件を上回っており、現在の審査の許容量には限りがあり、企業が商標を登録するのに時間がかかり、商標戦略に影響が出てしまう可能性があるため、改正商標法では海外の立法例を参考として、早期審査制度を導入した。
出願人が急いで権利を取得する必要がある場合は、事実と理由を明記して、早期審査の手数料を納付すれば、商標所管官庁が早期審査を行う。
現行商標法では国内に住所があれば、商標代理業務を行うことができ、商標の専門知識を持たない業者が低料金で代理の依頼を集めたり、節度を越えて代理を行ったりしているが、それを管理できないという問題があり、さらには商標関連の法令が海外と足並みを揃え、商標権者を保護する多くの新制度を推進するには、商標代理人が一定の専門能力を備える必要があり、それによって当事者のために適切に証拠、法律の適用をチェックすることができるようになる。
商標代理人の管理制度を確立することで、情報を透明化し、公衆が容易に検索でき、商標登録出願人の権益が十分に保障されるようになる。
さらに権利侵害事件における「指示的フェア・ユース」の抗弁について、現行法の個別解釈では適用に疑義が生じやすいため、改正商標法では特定の状況における他人の商標の使用は「フェア・ユース」の適用要件を主張できると規定しており、商標利用者がすぐに訴えられ、商業の発展に影響が及ぶことを回避することができる。
[出典:TIPLO Attorneys-at-Law, Also Taiwan International Patent & Law Office]