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2023.08.22IP中国:不使用取消案件における商標の使用について


中国:不使用取消案件における商標の使用について

中国登録商標は、継続して3年間使用しなかったとの理由で第三者によって不使用取消が請求された場合、
中国特許庁(CNIPA)から使用証拠の提出を求められる。中国ではどのような状況が「商標の使用」と認定されるのか。
また、商標の使用証拠に関する要件は何なのか。本稿において、上記の問題を説明する。

1.商標の使用およびその態様

中国商標法48条に「商標の使用とは、商品、商品の包装若しくは容器及び商品取引書類上に商標を用いること、
又は広告宣伝、展示及びその他の商業活動中に商標を用いることにより、商品の出所を識別するための行為をいう」と規定している。
商標の使用と認められる態様は、以下のものを含む。

①商標が指定商品に使用される場合は、商品、包装、ラベル、商品説明書、価格表などに商標を付けること。
②商標が指定役務に使用される場合は、パンフレット、看板、店内の装飾、従業員の服装、ポスター、価格表などに商標を使用すること。
③商品・役務と関連のある取引書類(契約書、請求書、商品輸出入検査検疫証明書、通関書類、電子商取引に係る取引記録など)に商標を使用すること。
④テレビ、ラジオ、インターネット、または公に発行された出版物、もしくはその他の広告方式による広告宣伝に商標を使用すること。
⑤展覧会、博覧会(展覧会の印刷物、表示板など)において商標を使用すること。
⑥国家機関、検査・鑑定機関または業界団体が発行した法的書類、証明書類に商標を使用すること。

2.商標の使用証拠の要件 商標の使用証拠の要件は以下のものを含む。

①商標の標識が示されている。
②商標が指定商品・役務に使用されていることを証明している。
③商標の使用者(商標権者自身のほかに、使用の許諾を受けた者、商標権者の意思に反せずに商標を使用する者も含まれる)が示されている。
④商標の使用日(不使用取消請求日前の3年以内の日)が示されている。
⑤中国商標法の効力が及ぶ地理的範囲内[中国(香港など別の法令が適用される地域を除く)]での商標の使用を証明できる。
同時に①~⑤の要件を満たさなくても、すべての証拠を総合して商標の真実な使用を証明できればよい。

3.商標の使用に関する注意事項 

①商標権者は登録を受けた商標を使用していなければならない。
その際、色、書体などの外観上の微調整は許容されるが、商標の主要部分と顕著な特徴を変更してはならない。
②指定商品・役務以外の商品(役務も含む、以下同様)に商標が使用された場合は、商標の使用とはみなさない。
③登録商標が実際に使用された商品が「類似商品及び役務の区分表」の標準商品名に該当しないが、その指定商品と比べて名称のみが異なり、本質的に同一の商品に属するもの、または実際に使用された商品が指定商品の下位概念に属するものである場合、商標の使用に該当する。
④登録商標が使用された商品が中国国内で流通せずにそのまま輸出された場合、商標の使用に該当する。
⑤商標の登録、譲渡、許諾、更新等の情報のみを示すもの、公的領域ではなく私的領域のみでの商標の使用、商標登録の維持を目的とした象徴的な使用のみのものなどは商標法上の商標の使用とはみなされない。


[出典:DEQI Intellectual Property]


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