2023.12.12IPカナダ:異議申立ておよび不使用取消請求の期限を短縮
カナダ:異議申立ておよび不使用取消請求の期限を短縮
カナダの商標異議委員会(TMOB)は、異議申立ておよび不使用取消訴訟手続きのスケジュールを短縮すると発表した。
この変更は2023年12月1日に発効し、よりタイムリーで効率的な手続きを促進することを目的としている。
■異議申立ての変更
TMOBによる異議申立ての実務変更により、問題をタイムリーかつ効率的に処理するよう改善し、TMOBが審理日程と決定をスムーズに提供できるようにすることを目的としている。
この変更により、異議申立て手続きの延長期間について次のように短縮がなされる。
※書面提出の段階になるとヒアリングが開催されることもあるが、これに関し期限延長申請を可能とする規定はない。
変更点:
・異議申立人が証拠提出および期限延長を得たのち、定められた期間までに反論できなかった場合の罰則を引き上げる。
異議申立人の延長期限は、(a)前回の反論期限、および (b) 反論手続きを継続しないことを審査官に通知した日の、いずれか早い方から1か月に短縮される。
・各当事者が利用できる1回限りの「クーリングオフ」延長期間を9か月から7か月に短縮する。
・新たな「誠実対応」条項の導入:期限を遵守するための合理的な努力、迅速性、勤勉さの一貫した姿勢を示すことができれば、各当事者は期限のさらなる延長が認められる場合がある。
この場合、次の期限を守ることができない理由を説明し、期限を守るために次の期限までに講じる措置を提示する必要がある。
■不使用取消の変更
商標法第45条では、審査官の自発的対応もしくは第三者の要請に応じた登録商標の不使用取消手続きの概要が規定されている。
今回の変更では、商標所有者が使用を証明(または許容可能な不使用の理由を提出)する期間が、基準の4か月から最大2か月に短縮された。
例外的な状況に基づく期間延長のリクエストは許可されるが、この場合延長を求める期間を指定し、提案された延長期限に間に合うようなタイムラインとステップの詳細を提出する必要がある。
例外的な状況としては引き続き、代理人変更や権利譲渡、商標所有者がコントロールし得ないような状況などが含まれ、審査官はこれに対し、延長期間の長さと適切と思われる条件を決定する裁量を有する。
そして、新しい「誠実対応」条項は、この不使用取消訴訟にも適用される。
重要なのは、この変更では、進行中の和解交渉による遅延は当事者が熱心に行動したことを示すのに役立たないと明記していることだ。
なお、関連する延長期間の変更について、審査官は原則としてその申請を一度のみ認めるとしている。
たとえば不使用取消における使用証拠の提出期限を1か月延長した場合、その1か月延長後に必ず規定の内容提出を行わなければならず再度の期限延長は認められ得ないということである。
よって、期限を延長する際は、その最大期間延長させることが推奨される。
[出典:Cassels Brock & Blackwell LLP, Moffat & Co.]