2025.01.28IPカナダ:パイロットプロジェクト開始
カナダ:パイロットプロジェクト開始
カナダの商標異議委員会(TMOB)は、2025年1月より、既存の登録商標のうちどれだけの商標が使用されていないかを判断することを主な目的として、商標審査官が既存の登録商標に対し不使用取消通知(商標法第45条)を発行するパイロットプロジェクトを開始すると発表した。
不使用取消通知の対象は、登録から3年以上経過した商標から無作為に選ばれる。
現時点では、2025年1月に100件の通知が発行され、2月と3月にはそれぞれ50件の通知が発行される予定である。
その後、このパイロットプロジェクトはTMOBによって協議され、継続の可否が決定する。
第45条(不使用取消)手続の背景
カナダ商標法第45条は、登録機関が第三者からの要求または登録機関自身の発意により、登録商標の権利者に対し、当該商標が過去3年間にカナダで使用されたことを証明するよう要請することを認めている。
特別な事情がない限り、権利者が使用を証明できない場合、商標登録は以下となる:
(1) 商標が使用された商品/役務に補正される、または (2) 登録が取消される。
この手続きはカナダの登録商標を正確かつ最新の状態に維持することを目的としている。
<パイロットプロジェクトの目的>
・使われていない商標の登録を取り消すことで、審査における不必要な拒絶の発行を減らし手続きの効率化を促進させる。
・使われていない商標の登録を取り消すことで、出願前の商標調査の負担を最小限に抑え、出願人のブランド決定を円滑にする。
・実際に使用されている商標を反映した正確なデータベースを作成することで、システムの正確性を確立する。
本プロジェクトは商標権利者へ保持している登録商標の見直しを促すものである。
商標権利者は以下の点に留意すべきだろう。
・当局からの通知がタイムリーに受信されるよう現地代理人/担当者の選任をすること。
・登録商標の指定商品/役務の使用要件を確認し、不使用取消請求を受けた場合に備え、使用証拠の収集/保管をする。
現時点で使用開始をしていない場合は、商標使用の開始を検討する。
[出典:Bennett Jones LLP]