2026.05.26IPモルディブ共和国:商標登録制度を導入へ(続報 2026/5/26)
モルディブ共和国:商標登録制度を導入へ(続報 2026/5/26)
2025年11月26日号にて、モルディブ共和国が2026年より商標登録制度を導入する件についてお伝えしたが、今回は、現在実施されている新聞警告(cautionary notices)および新法の移行期間(Transition Period)について説明する。
■ 新聞警告(cautionary notices)について
新法には、現在実施している新聞警告に関する明確な経過措置規定は設けられていない。
そのため、単に過去に新聞警告を実施していたという事実のみをもって、法律上の優位的な権利や先使用権が当然に担保される仕組みではないと考えられる。
一方で、これまで継続的に新聞警告を行ってきた実績は、商標登録出願を行う際に、先使用や既存の権利の存在を示す有力な証拠として機能すると考えられる。
これは、新法上の法的な優位的権利そのものに該当するものではないが、審査段階や、商標の有効性・権利帰属に関する紛争において、重要な判断要素となる可能性がある。
そのため、新たな商標登録制度が本格的に運用開始されるまでは、既存の新聞警告を継続して維持することが強く推奨される。
■ 移行期間(Transition Period)について
公表内容によれば、2026年11月11日から2027年11月11日までの12か月間が「移行期間」とされており、従来の新聞警告制度に依拠していた権利者は、この期間中に正式な商標登録出願を行うことで、これまで維持してきた権利を商標権として確保することが可能になる。
もっとも、新法には、新聞警告に基づく先行権や出願順位上の優位性を明示的に認める経過措置規定は存在していない。
そのため、実際にどのような運用がなされるかについては、現時点ではなお不透明である。
今後公表される施行規則等により、この点が明確化されることが期待される。
■ まとめ
本商標法は、モルディブにおけるブランド保護制度を近代的に変更するものであり、同国初の本格的な商標登録制度を導入し、従来の新聞警告制度に代わる新たな制度基盤を構築するものである。
2026年11月11日の施行に向け、権利者においては、自社の商標ポートフォリオを見直すとともに、過去の新聞警告の実績を整理し、実際の使用状況との整合性を確認した上で、適時に正式登録へ移行するための準備を進めることが推奨される。
[出典:Spoor & Fisher]