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2018.01.30IPブラジル:先使用権に関する最高裁判所の重要判例


ブラジル:先使用権に関する最高裁判所の重要判例

ブラジルは先願主義を採用しており、商標の所有権は登録によって確立する。
しかし、知的財産法第129条の第1項において、要件を満たす場合、善意による商標の先使用権を認めている。

従来、ブラジル特許庁はこの条文を異議申立において、商標の登録付与前にのみ適用してきた。すなわち、一旦第三者の商標が登録された場合、例えば無効審判において、特許庁は悪意が明らかな場合を除き、当該条文の援用を認めることはなかった。
しかしブラジル最高裁判所は、この条文の適用範囲をもっと広げるべきであるとし、登録付与後の商標に対しても、登録付与から5年以内であれば適用できると判断した。これは、Seriprint Industria e Comercio de Etiquetas Ltdaの登録商標「PADRAO GRAFIA」に対して同一商標の先使用権に基づき請求された取消審判についての判欠で記載されたものである。
最高裁判所の解釈は、商標の実際の「創設者」の標章開拓や使用にかけた投資とグッドウィルを考慮したものである。
しかしこの解釈は同時に一度登録された商標権について、登録から5年以上たたなければ実際に権利が確定しないという不安定さを生むことになる。
以上の状況から、ブラジルにおいて、常時より商標の使用を証明できる証拠を収集しておくことが重要となる。


[出典:Dannemann Siemsen]


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