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2026.07.22IP台湾:商標の変更または付記を加えた使用による登録取消のリスク


台湾:商標の変更または付記を加えた使用による登録取消のリスク

台湾商標法第63条第1項第1号では、「商標登録後、自ら商標の変更または付記を加えた結果、他者が同一または類似の商品役務に使用している登録商標と同一または類似となり、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある場合、商標主務官庁職権でその登録を取消さなければならない」と規定されている。
これは、商標権者に対し商標登録後合法的な使用義務を課すことで、登録商標の不適切な使用によって第三者登録商標と混同が生じるのを防ぎ、市場における公正な競争秩序を維持することを目的としている。
商標の変更または付記とは、登録商標本体の文字・図形・色彩などを変更したり、付記を加えたりすることを指す。

台湾では、不使用取り消し審判請求をする際、根拠となる商標が登録から3年以上経過している場合、審判請求人は審判請求日より3年以内の使用証拠を提出しなければならない。
最高行政裁判所は2024年度第188号判決において、係争商標権者(原告)が実際に使用していた商標態様は登録態様から変更または付記があると判断し、登録を取り消すべきとして、原審である知的財産及び商業裁判所の判決を維持し、係争商標権者の上告を棄却した。事案の詳細は以下である。

事案の概要

<不使用取消審判請求を受けた係争商標>
商標 NAVY
区分 第25類
指定商品 衣料品
<不使用取消審判請求人の根拠商標>
商標
区分 第25,35類 第25,35類
指定商品役務 25類:衣料品
35類:衣料品または衣料品アクセサリーの小売・卸売


不使用取消審判請求人は、係争商標が登録態様から変更または付記を加えて使用している状況であることを知り、経済部智慧財産局(以下智慧局)に不使用取消審判を請求した。
智慧局は係争商標の登録を取り消すべき旨審決を下したが、係争商標権者はこれを不服とし訴願を提起した。
しかし、棄却されたため行政訴訟を提起した。
知的財産及び商業裁判所は、係争商標権者敗訴の判決を下した。
係争商標権者は原審判決を不服として上告したが、最高行政裁判所がこれを棄却し、登録取消が確定した。

判決の概要
1.不使用取消審判請求人の根拠商標の使用証明
上述の通り、不使用取消請求根拠となる商標が登録から3年以上経過している場合、審判請求人は審判請求日より3年以内の使用証拠を提出しなければならない。
請求人は、衣類、靴、靴下などの商品注文データ・請求書・ウェブサイトのスクリーンショットまたは処理画面などの証拠を提出した。
これらのデータには、青い楕円形の中に白抜きの文字で「OLD NAVY」が配置され、商品ブランド名は「OLDNAVY」、価格は台湾元で表記し、台湾の受取人情報も記載されていた。
また、ウェブサイトのスクリーンショットは、言語が中国語で、URLに「oldnavy」の単語も記載されていた。
これらの証拠を裁判所は、審判請求日より3年以内に根拠商標が使用されていた事実を証明するのに十分と判断した。
2.係争商標の変更使用または付記使用の事実
デザイン化されたロゴは、商品外観の装飾にすぎず、原則として商品役務の出所表示機能を有さない。
しかし、デザイン化されたロゴが商標使用に該当するのかは、事業分野の表示慣行・方法・位置によって判断されるべきものである。
今回の当事者のようにアパレル事業では、襟・ポケット・袖・胸元などに商標表示をするのが通常である。
そのため、表示慣行に従い、胸元に商標ロゴを表示する場合、消費者はそれを商標と認識するのに十分であり、商標使用に該当するといえる。
係争商標は英語「NAVY」のみで構成されているが、この文字を白抜きし、青い楕円形の中に配置したロゴを胸元に表示し使用していた。
これは消費者が商標と認識するのに十分であり、商標使用に該当すると判断された。
3.混同誤認の恐れ
係争商標と根拠商標を比較すると、いずれも白抜き文字で「NAVY」「OLD NAVY」を色のある楕円形の中に配置したものであり、共通して「NAVY」の字を含む。根拠商標は「OLD」を含むがこれは形容詞であり、主要部は依然として「NAVY」である。
いずれの商標も、文字を際立たせるため楕円形の図形を背景にしており、類似性は低くない。
指定商品役務も、いずれの商標も衣料品に関係しており、類似性は低くない。

結論
実務上、商標の変更または付記に該当するかどうかの判断は、商標の実際の使用態様と登録商標の図案が同一性を有するかどうかに限られるものではない。
むしろ、その実際の使用態様によって第三者の登録商標と混同誤認を生じさせる可能性があるかどうかに重きを置いている。
商標権者は、事業戦略上の理由から商標の実際の使用態様を調整することがよくある。
そのため、智慧局が公表した『登録商標使用に係る注意事項』を参照し、商標を継続的に合法的に使用し、取消請求日前3年間の真正な使用をめぐる紛争を避けるため、実際の使用態様が登録商標の図案と同一性を有しているかどうかに注意を払うことに加えて、商標権が取消されるリスクを軽減するため、その使用方法が変更または付記に該当するかどうかにも特に注意を払わなければならない。


[出典:Lee and Li, Attorneys-at-Law]


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