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2018.09.11IPカザフスタン:知的財産法改正


カザフスタン:知的財産法改正

2018年7月3日、カザフスタンでは商標、特許、著作権等12の法律が改正された。その主な改正点は以下の通り。


知的財産権全般について、改正前は知的財産庁(NIIP)と司法省の二つの機関が登録までのプロセスに係っていたが、改正後は知的財産庁の管轄となる。また、知的財産に係るオフィシャルフィーも改正前は税法制度により定められていたが、今後はNIIPと司法省が決定することになる。

産業財産権、育成者権、品種登録の譲渡及びライセンスもNIIPにおいて10営業日以内に登録されることになる。改正前は40営業日と規定されていた。

また、改正法では知的財産の消尽に関する紛争において、行政及び刑事責任は適用されないと明示された。

ライセンス関連について、ライセンス契約に有効期限の記載がない場合、自動的に5年有効と看做される。改正前、専用実施権・使用権(Exclusive license)はライセンサーであればライセンシーとともに実施・使用が可能であったが、改正後はライセンサーがライセンシーとともに許諾した知的財産権を使用できないライセンスであると定義した。その代わりに単独ライセンス(Single License)という新しい概念が導入され、許諾した後もライセンサーがライセンシーとともに実施・使用できるライセンスと定義された。

商標と地理的表示(GI)に関しては、侵害品の概念が導入され、「権利人の同意なく商標又はGI或いは混同するほど類似する標章を商品またはパッケージに付したもの」と定義された。

侵害品及びこれらの商品の製造に使用された装置または素材は、市場から撤去され侵害者の費用で廃棄される。

裁判所が商標またはGI侵害を認めた場合、権利人は損害賠償に代えて金銭的補償(monetary compensation)を請求できる。この場合、権利人は逸失利益を証明する必要がなく、裁判所が侵害の程度に応じて補償額を決定する。これは権利人の手続きを簡易にするが、金額の決定は全て裁判所の裁量となる。金額について、草案では最低および最高額が決定されていたが、実際の法では反映されなかった。

商標とGIは登録簿に記録されると3営業日以内にオンライン公告され、商標の専用権は登録日から発生する。出願にあたっては委任状の原本ではなくコピーを提出してもよいが、3か月以内に原本提出が必要となる。

商標の方式審査は出願日より1か月から10営業日に、実体審査も9か月から7か月短縮されたが、早期審査(追加費用を支払った日から6か月)は廃止された。GI申請の実体審査も6か月から30営業日に短縮された。商標出願は全て、方式審査終了後5営業日以内に公開される。


著名商標に関する要件と審査手続も法に組み込まれ、裁判所ではなく司法省の不服審判部が管轄する。
不使用取消審判については不服審判部ではなく、裁判所に請求することになり、不使用取消の期間も改正前は登録日から3年間であったものが、審判請求日前3年間となった。

商標の「使用」の概念も拡大され、識別性に影響しない範囲で当初登録した態様と異なる場合(例えば、サイズ、フォント、カラーが異なる等)も商標の使用と認められる。

無効審判の根拠として新たにカザフスタンにおいて先願である商号と同一または混同するほど類似する商標等が追加された。

同意書に関する要件も公式レターヘッドで代表者による署名と社印(ある場合)が捺印されなければならず、自然人が発行する場合は公証が必要であると明確に規定された。


[出典:SD PETOSEVIC]


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