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2019.05.14IP中国:商標法改正へ


中国:商標法改正へ

中国商標法改正案が2019年04月23日に中国人民代表大会常務委員会を通過した。改正法は2019年11月1日から施行される。
主な改正点は、(1)使用を目的としない悪意の出願について、拒絶理由、異議理由、無効理由とされた(2)悪意による商標権侵害による懲罰的損害賠償金の上限が3倍から5倍へ(3)人民法院による冒認登録商標が使用された商品等の廃棄命令、などである。以下に新旧条文比較表を示す。

現行法

改正法

第4条第1項
自然人、法人又はその他の組織が、生産経営活動において、その商品又は役務について商標専用権を取得する必要がある場合には、商標局に商標登録を出願しなければならない。

第4条第1項
自然人、法人又はその他の組織が、生産経営活動において、その商品又は役務について商標専用権を取得する必要がある場合には、商標局に商標登録を出願しなければならない。使用を目的としない悪意の出願は拒絶される。

第19条第3項
商標代理機構は、委託人の登録出願する商標がこの法律の第十五条及び第三十二条に規定する事由に該当することを知っているとき、又は知るべきであるときは、その委託を受けてはならない。

第19条第3項
商標代理機構は、委託人の登録出願する商標がこの法律の第四条、第十五条及び第三十二条に規定する事由に該当することを知っているとき、又は知るべきであるときは、その委託を受けてはならない。

第33条
初歩査定され公告された商標について、公告の日から3ヶ月以内に、この法律の第十三条第二項及び第三項、第十五条、第十六条第一項、第三十条、第三十一条、第三十二条の規定に違反していると先行権利者、利害関係者が判断したとき、又はこの法律の第十条、第十一条、第十二条の規定に違反していると何人が判断したときは、商標局に異議を申し立てることができる。公告期間を満了しても異議申立がなかったときは、登録を許可し、商標登録証を交付し公告する。

第33条
初歩査定され公告された商標について、公告の日から3ヶ月以内に、この法律の第十三条第二項及び第三項、第十五条、第十六条第一項、第三十条、第三十一条、第三十二条の規定に違反していると先行権利者、利害関係者が判断したとき、又はこの法律の第四条、第十条、第十一条、第十二条の規定に違反していると何人が判断したときは、商標局に異議を申し立てることができる。公告期間を満了しても異議申立がなかったときは、登録を許可し、商標登録証を交付し公告する。

第44条第1項
登録された商標が、この法律の第十条、第十一条、第十二条の規定に違反している場合、又は欺瞞的な手段若しくはその他の不正な手段で登録を得た場合は、商標局は当該登録商標の無効宣告を行う。その他の単位又は個人は、商標評審委員会に当該登録商標の無効宣告を請求することができる。

第44条第1項
登録された商標が、この法律の第四条、第十条、第十一条、第十二条の規定に違反している場合、又は欺瞞的な手段若しくはその他の不正な手段で登録を得た場合は、商標局は当該登録商標の無効宣告を行う。その他の単位又は個人は、商標評審委員会に当該登録商標の無効宣告を請求することができる。

第63条第1項
商標専用権侵害の損害賠償額は、権利者が侵害により受けた実際の損失により確定する。実際の損失を確定することが困難なときは、侵害者が侵害により得た利益により確定することができる。権利者の損失又は侵害者が得た利益を確定することが困難なときは、当該商標の使用許諾料の倍数を参照して合理的に確定する。悪意により商標専用権を侵害し、情状が重大なときは、上述の方法により確定した金額の1倍以上3倍以下で賠償額を確定することができる。賠償額は、権利者が侵害行為を抑止するために支払った合理的な支出を含まなければならない。

第63条第1項
商標専用権侵害の損害賠償額は、権利者が侵害により受けた実際の損失により確定する。実際の損失を確定することが困難なときは、侵害者が侵害により得た利益により確定することができる。権利者の損失又は侵害者が得た利益を確定することが困難なときは、当該商標の使用許諾料の倍数を参照して合理的に確定する。悪意により商標専用権を侵害し、情状が重大なときは、上述の方法により確定した金額の1倍以上5倍以下で賠償額を確定することができる。賠償額は、権利者が侵害行為を抑止するために支払った合理的な支出を含まなければならない。

第63条第3項
権利者が侵害により受けた実際の損失、侵害者が侵害により得た利益、登録商標の使用許諾料を確定することが困難なときは、人民法院は、侵害行為の情状に応じて、300万元以下の賠償支払いを判決する。

第63条第3項
権利者が侵害により受けた実際の損失、侵害者が侵害により得た利益、登録商標の使用許諾料を確定することが困難なときは、人民法院は、侵害行為の情状に応じて、500万元以下の賠償支払いを判決する。

第63条第4項(新設)
人民法院が商標紛争事件を審理する際、冒認登録された商標の商品について、特殊な状況を除き、権利者の請求により、廃棄を命じることができる。冒認登録された商標の商品の製造に主として用いられる材料、器具について、廃棄を命じることができ、これに補償は要しない。また、特殊な状況において、上記材料、器具の市場への流入の禁止を命じることができ、これに補償は要しない。

第63条第5項(新設)
冒認登録された商標の商品について、冒認登録された商標を除去しただけでは、市場に流入させてはならない。

第68条第1項
商標代理機構に次の各号に掲げる行為のいずれかがあるときは、工商行政管理部門は、期間を定めて是正するよう命じ、警告を与え、1万元以上10万元以下の罰金を科す。直接責任を負う主管者及びその他の直接責任者に警告を与え、5千元以上5万元以下の罰金を科す。犯罪を構成するときは、法により刑事責任を追及する。
(三)この法律の第十九条第三項、第四項の規定に違反すること。

第68条第1項
商標代理機構に次の各号に掲げる行為のいずれかがあるときは、工商行政管理部門は、期間を定めて是正するよう命じ、警告を与え、1万元以上10万元以下の罰金を科す。直接責任を負う主管者及びその他の直接責任者に警告を与え、5千元以上5万元以下の罰金を科す。犯罪を構成するときは、法により刑事責任を追及する。
(三)この法律の第四条、第十九条第三項、第四項の規定に違反すること。

第68条第4項(新設)
冒認登録された商標の商品について、冒認登録された商標を除去しただけでは、市場に流入してはならない。


[出典:Watson Brand]


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