アディダスが靴や衣料品に使用している「3本線」について、欧州連合（EU）の高裁にあたる一般裁判所（ルクセンブルク）は2019年06月19日、商標権を認めない判断を下した。裁判所は、アディダスの「どんな向きにも付けられる等幅の3本の平行な線」がEU全域において、同社の製品だと見分けられるだけの識別性獲得を証明できていないと結論付けた。
今回、問題になった商標登録は、EUTM第012442166号で、説明には「商品に任意の向きで付された3本の等間隔で等幅のストライプ」と記載されている。指定商品は、被服、靴、帽子で、これらの商品やパッケージに3本線が付いていれば、それがどこであろうと、どのような向きや大きさであろうが、アディダスが権利を持つということを目指したものである。アディダスは他にも３本線商標を所有しており、これらが全て無効になったわけではない。また、アディダスには今後、上級の欧州司法裁判所（ECJ）で争う余地は残っている。
この事件はもともと、2014年にEU知的財産庁（EUIPO）がアディダスが申請した「どんな向きにも付けられる同じ幅の3本の平行な線」を商標として登録したのに対し、2016年にベルギーの会社が異議申立てを請求し、登録が取り消されたもので、アディダスはこれを不服として訴えていた。