2019.08.27IPトルコ:不使用取消審判の根拠条文に関する最高裁判所の決定
トルコ:不使用取消審判の根拠条文に関する最高裁判所の決定
トルコでは2017年01月10日に知的財産法典6769号が施行されてから、登録商標について継続して5年以上使用されていない場合は不使用取消の対象となった(第9条)。
旧法である商標の保護に関する法令第556号第14条にもほぼ類似の規定はあった。
しかしながら、トルコ憲法裁判所は、法令第556号第14条に関し憲法違反であるとし、当該条文を無効と決定した。この判決は知的財産法典が施行される直前の2017年01月06日に公報に掲載された。
この4日間のギャップは、その後長きにわたり、トルコでは知的財産法典第9条を不使用取消審判に適用されるかという議論の元となり、大半は知的財産法典の施行と同時に不使用の請求は可能であるとの見方であったが、第9条は5年経たなければ行使できないという可能性を否定できなかった。すなわち、不使用取消審判は2023年01月10日後でなければ請求できない、とする意見もあった。
大半のIP裁判所は知的財産法典施行後、不使用取消審判を受理しているが、知的財産法典の不使用取消に関する規定は遡及効がないとする抗弁にあい、請求人側の主張を認めなかった。
こうした状況を受けて、最高裁判所は不使用取消審判と知的財産法典第9条について以下のように決定した。裁判所は、知的財産法典は2017年01月10日に公布されたものであるが、2016年12月22日に承認されていたものであり、憲法裁判所が旧法第14条を無効とする前である。知的財産法典第9条が導入された時点で、立法部は旧法第14条が無効となることは想定しておらず、立法部の当初の目的は、商標が5年以上継続して使用されていない場合は、遡及的に取消されることを想定していたであろうと判断した。
この決定により、今後不使用取消について第9条は問題なく適用されることが可能となった。
[出典:Deris Attorney At Law Partnership]