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2020.11.10IPEU:スローガンの審査に関する最近の傾向


EU:スローガンの審査に関する最近の傾向

欧州連合(EU)および欧州連合知的財産庁(EUIPO)の下、指定商品/役務の種類、品質、用途又はその他の特徴を直接表すスローガンは、商標として識別性が不十分であるとして、拒絶/異議申立等の対象になる。
以前は「LOVE TO LOUNGE」(被服などを指定)や「WET DUST CAN’T FLY」(洗濯用漂白剤その他の洗濯用剤、機械及び工作機械などを指定)等のスローガン/キャッチフレーズの登録が認められた。
また、アウディのスローガン「Vorsprung durch Technik」(「技術による先進」を意味する)をめぐる欧州司法裁判所の判決では、スローガンの識別性を判断する際に用いるべきいくつかの基準が示された。
スローガンに言葉遊び(a play on words)の性質がある、あるいはスローガンが想像的もしくは意外なもので、特定の独創性や響きを有する場合などは、基準を満たすとしている。また他とは異なる構文構造(unusual syntactic structure)、あるいは頭韻、メタファー、脚韻、パラドックスなどのスローガンの特徴により、識別性が認められる可能性もある。
しかしこのような基準があるにも関わらず、近年スローガン出願の多くは識別性の欠如を理由に拒絶されている。
拒絶例は以下の通り。
・「INVESTING FOR A NEW WORLD」(金融サービスを指定)
・「PIONEERING FOR YOU」(機械、電子機器、及び関連サービスを指定)
上記以外にも、「Passion to Perform」「Wash & Coffee」「Making Life Better At Work」「Equipment For Life」などが拒絶されている。

出願人の多くは上述の基準に沿って反論を試みるが、EUIPOにおけるスローガンの取扱いは、同基準によって一層厳格になった。
宣伝広告に用いられる表示(スローガン)は、相対的に公衆の注意を引く程度があまり高くないことが度々確認されているが、たとえば金融サービスなど、関連する公衆の注意力が基本的に高いと言われる商品/役務に関してであっても、スローガンの識別性が自動的に高まるわけではない。
そのため、スローガンを商標として保護したい場合は、出所表示機能を果たせるように、消費者の記憶に残るような、著しく独特な何かを含むことを勧める。
また、別の方法として、識別性のある会社名と組合わせることも考えられる。


[出典:Staeger & Sperling]


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