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2005.01.07IP韓国:rolls-royceドメイン名商標侵害と認められず


韓国:rolls-royceドメイン名商標侵害と認められず

rolls-royce.co.krというドメイン名を用いてはいたが、ROLLS-ROYCE社とは全く関係のない 非営利サイトを運営しサイト内にもrolls-royceという表示を全く行っていなかった事件について、 大法院は、商標権侵害はなく、また、ドメイン名譲渡の対価として高額の金銭を要求した行為も 不正競争行為に当たらないとして上告を棄却した(大法院2004.2.13言渡2001ダ57709)。

事実関係

原告ROLLS-ROYCE社は、「乗用車、内燃機関」及び「ピストン、ガスタービンエンジン及び自動車を含む 内燃機関の修繕業」などを指定商品/サービス業とする「ROLLS-ROYCE」商標及びサービスマークの 登録権者であり、これは原告会社の商号であって原告が生産する乗用車に関する商標としても韓国でも 広く知られている。
原告は、「rolls-royce.co.kr」というドメイン名(以下「本件ドメイン名」)をアドレスとするウェブサイト(以下「本件ドメイン名」)を 開設していた韓国個人に対し、「看板又は標札に商標を展示又は頒布する行為」 及び「混同行為又は識別力若しくは名声の損傷行為」であると主張し商標権侵害及び不正競争行為の差止を求め 訴を提起した。
ただし、このサイトでは、「PROFILE」という項目に被告である韓国個人の略歴が紹介され、「航空機」、 「特許情報」、「購買関連」という項目には関連サイトのアドレスを紹介して該当サイトに移動できるように リンクされているだけで、バナー広告なども全くない非営利のサイトであり、また、このサイト内には 「ROLLS-ROYCE」という単語は一切表示されていなかった。
なお、被告は、本件ドメイン名を原告に譲渡する対価として7年間の英国留学費用や、数十万ドル規模の対価を 要求したことがあった。

判決内容

大法院は、本件ドメイン名の要部である「ROLLS-ROYCE」が原告の本件商標と同一であるとしても、本件ウェブサイトで 原告の登録商標の指定商品や登録サービス標の指定サービス業と同一又は類似の商品/営業を取り扱った事実が 全くないため、被告が本件ウェブサイトを通じて原告の本件商標を侵害したり、侵害するおそれがあるとはいえないから、 被告が「ROLLS-ROYCE」をドメイン名として使用した事実だけでは商標法上の商標権侵害と見ることができず、 インターネット上のAドレスを表すドメイン名は商標法第2条第1項第6号ハ目で規定する看板又は標札に該当しない。
また、本件ドメイン名の譲渡に対する対価として金銭等を要求する行為は、ドメイン名を商品又は営業であることを 表示する標識として使用したものであるとは言えず、被告の行為が不正競争防止法第2条第1号イ目、ロ目の 混同行為や同号ハ目所定の識別力又は名声の損傷行為には該当しない。

コメント

2004年7月21日施行された改正不正競争防止法や2004年7月30日から施行されたドメイン名に関する サイバースクワッティングを防止するためのインターネットアドレス資源に関する法律では、「著名なドメイン名を販売 したり貸与すること」「正当な権利者のドメイン名の登録や使用を妨害すること」「著名商標・商号などを登録・保有・ 移転・使用すること」を禁じ、不正に登録されてたドメイン名を登録抹消することができるようにしているため、 本件と同様のケースでも、今後は違った結論になることが予想される。


[出典:KIM&CHANG NewsLetter]


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