2007.07.17IP台湾商標法改正
台湾商標法改正
経済部智慧財産局は、大幅改正を予定する商標法改正草案を提出した。
当該草案は昨年のWIPOで採択された「商標法に関するシンガポール条約(Singapore Treaty on the Law of Trademarks)」を参酌したもので「匂いの商標」「動く商標」等を商標として新たに認めるものである。
また、智慧財産局は、「商標権者が商標をめぐるトラブルに関する手続きを提起する際、係争商標を使用していることを証明する証拠を提出しなければならない」とする規定も追加した。その結果、係争商標が登録後既に満3年経過しているのに、商標権者が係争商標使用に係る証拠を提出することができない場合、係争商標に基づいて他人の登録商標を取り消すことはできなくなる。
したがって、商標使用に係る証拠は商標紛争において、かなり重要な役割を果たすことになるであろう。
- 解説
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「商標法に関するシンガポール条約(Singapore Treaty on the Law of Trademarks)」とは2006年3月に開かれた外交会議にて採択された条約で、1994年に採択された商標法条約の改正に関する取極のこと。この条約によると「匂い」の標章等について、締約国の国内法令に従って適用できることになっている。
「商標権者が第三者との係争を提起する際には、自己の商標の使用証拠を提出しなければならない」、すなわち、「不使用状態の登録商標に基づいて第三者の商標登録を取り消すことができない」、とする改正草案は、どうやらシンガポール条約とは離れた改正内容のようだ(少なくともシンガポール条約上、かかる規定は存在しない)。
残念ながらTIPO(台湾経済部智慧財産局)のウェブページを探しても商標法改正草案に関する記事は見当たらなかった(2007年3月28日付で著作権仲裁センター規則の改正草案に関する記事はあったが)。草案段階なので、具体的なことは不明のまま。だが、「使用」が意識されていることには、今のうちから気をつけておくべきだろう。
[出典:Lee and Li]