2012.01.11IP韓国:商標法改正へ 他
韓国:商標法改正へ
韓米FTAに伴い、韓国では法改正が相次いでいる(2011年8月23日号参照)。
2011年11月に国会本会議で韓米自由貿易協定(FTA)批准案が通過するにともない、2011年12月02日付で改正商標法が公布され、韓米FTAの発効日に併せて施行される予定である。
韓米FTAの商標分野における合意事項を反映させた改正商標法の主要骨子は次の通り。
- 音・匂いなどの非視覚的標識も商標法上商標と認定
音・匂いなどの視覚的に認識できないもののうち、記号・文字・図形またはその他の視覚的な方法により写実的に表現したものも商標法上商標と規定する(商標法第2条第1項第1号ハ目)。
これら商標の出願時に、音・匂い商標の特徴を具体的かつ正確に文字などで叙述するようにし、音商標は楽譜や音ファイルなどを匂い商標は匂いサンプルを添付して提出するようにし審査に活用する(商標法施行規則第4条第1項第6・第7号)。 証明標章制度導入
商標の商品品質保証機能を強化して一般需要者に正しい商品情報を提供すべく、証明標章制度を導入した。改正商標法では、
証明標章とは商品または役務の品質・原産地・生産方法またはその他の特性の証明を業とする者が、商品の生産・製造・加工または販売を業とする者の商品や、サービス業を営む者の役務が、定められた品質・原産地・生産方法またはその他の特性を満たすことを証明するのに使用するための標章であると規定し(商標法第2条第1項第4号)、
地理的表示証明標章とは商品の品質・原産地・生産方法またはその他の特性の証明を業とする者が、商品の生産・製造または加工を業とする者の商品が定められた地理的特性を満たすことを証明するのに使用するための地理的表示からなる証明標章であると規定した(商標法第2条第1項第4号の2)。- 専用使用権登録を効力発生要件から第三者対抗要件に変更
これまで専用使用権については、これを登録することで効力が発生すると規定していたが、改正商標法では専用使用権を登録しなくてもその効力が発生するものと規定した。
ただし、商標使用権者保護および善意の第三者保護のために、登録を第三者対抗要件と規定した(商標法第54条第2項および第58条)。 - 法定損害賠償制度導入
商標権侵害訴訟で損害発生および実損害の立証が困難なことにより実損害額より賠償額が少なく算定される不合理を防ぐために、改正商標法では侵害事実のみを立証すれば5千万ウォンの範囲内で相当する額の賠償を受けることができるように規定した(商標法第67条の2)。 - 訴訟手続での秘密維持命令制度導入
改正商標法では、侵害訴訟手続で生成もしくは交換された秘密情報を保護するために、法院が訴訟当事者などに訴訟過程で知得した秘密を訴訟遂行以外の目的で使用もしくは公開できなくさせる秘密維持命令を出すことができるようにし、これに違反した場合5年以下の懲役または5千万ウォン以下の罰金を賦課できるように規定した(商標法第92条の7および第96条の2)。
[出典:Kim & Chang]
アルゼンチン:更新の起算日変更
アルゼンチンでは従来、商標の更新期限は更新を申請し、それが認められた日から10年であったが、新規則第M1735/11号が発せられ、2012年01月01日に更新出願された商標から、起算日が前回の期限日から10年となった。
即ち、今後は今回の更新期限日が2012年01月20日の場合、次回以降の更新期限は10年後の2022年01月20日となる。
[出典:Kors Noviks]
シンガポール:商標権紛争における仲裁制度導入
シンガポールでは2012年01月03日より、特許庁における商標の異議申立、無効・取消審判において、WIPO規則に基づく仲裁制度により紛争解決が可能となる。
これは両当事者による訴答書面が交わされた後、特許庁は事件管理協議(case management conference)を開催し、そこでオプションとして仲裁制度を提示する。
両当事者は協議後一か月以内に、特許庁に対しこのオプションに同意するか否かを回答する。
両当事者が仲裁に同意する場合、特許庁での審理が中断される。
同意しない場合は2回目の協議が開かれ、証拠提示等の期限が設定される。
仲裁のメリットは通常の審理と異なり、守秘性があり、両当事者が自由に手続を管理できることである。また、両当事者はWIPOの推薦するリストの中から、仲裁人を選ぶことも可能である。
なお、この仲裁手続きは現在商標においてのみ選択可能である。
[出典:ATMD Bird & Bird & Pulse]
ケイマン諸島:新知的財産権法発効
ケイマン諸島では2011年11月に新特許商標法が採択され、12月07日より発効された。
その主要な特徴としては代理人に関するものであり、
従来と異なり同諸島に法的に通常に居住する有資格者を代理人とするよう規定し、併せて新しいオフィシャルフィーを設定している。
ケイマン諸島はこれまでイギリス等に居住する代理人でも同島における手続が可能であった。
日本企業は同島における商標権維持を在EUの代理人を介して手続することが多いため、新法発生後は同島における商標権維持について費用の上昇が見込まれる。
[出典:Lysaght & Co.]
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