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商標・著作権・特許・意匠・ドメインネームなど、知的財産権全般にわたる世界中の出来事を集約。
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2012.08.28IP韓国:商標法改正案 他


韓国:商標法改正案

前号でもお知らせしたが、改正案についての詳細が判明した。

  1. 商標不使用取消審判制度の改善
    1. イ. 不使用の先登録商標による拒絶理由克服方法の策定
      改正案では、出願人と先登録商標に対する不使用取消審判請求人が同一人の場合、出願商標と先登録商標との類否判断時点を「出願時」から「登録可否決定時」に変更し、不使用取消審判を通して他人の先登録商標による拒絶理由を克服できるようにした。

      これにより、不使用取消審判で先登録商標が消滅しても再出願しなければならなかったため商標権取得にまで長期間が要された現行商標法上の問題点が解消されるものと期待される。
    2. ロ. 不使用取消審判請求人の優先出願期間の廃止
      改正案では不使用取消審判請求人に与えられる6ヶ月間の優先出願期間を廃止して、先出願主義によって商標権の取得可否が決定されるようにすることにより、不使用取消審判制度の優先出願期間を悪用する事例を防止するようにした。
  2. 商標‐商号関係の明確化
    1. イ. 商号の使用対象および表示方法などの具体化
      現行商標法では、商号を図案化されていない文字のみで普通に使用する場合にのみ商標権の効力が及ばないものと限定解釈しているが、これは商号を一般文字でのみ使用するケースが極めてまれであるという取引現実を反映しておらず、商標と商号の衝突による紛争を適切に解決できないという指摘があった。

      このため改正案では、商号を「営業活動で自己を表すために看板・価格表・取引書類・商品・包装などに文字・図形などで表したり、その他に商取引慣行によって表示する商標」にも商標権の効力が及ばないことに変更し、図案化された文字、図形と文字との結合などからなる商号に対しても商標権の効力を制限することができるようにした。
    2. ロ. 「不正競争目的」の立証責任の変更
      改正案では、商号使用者の「不正競争の目的」は商号使用者が容易に立証できる事項であることから、これに関する立証は商号使用者がするようにした。
      ただし、商号が商標より先に使われた場合は商標権者が立証することにし、商号の先使用者保護の側面も併せて考慮した。
  3. 期間未遵守に対する権利救済手段の導入
    出願人が定められた期間内に意見書を提出できない場合、その期間満了日から2ヶ月以内に手続継続申請書と意見書を提出すれば該当手続を再開することができる規定が設けられた。
    ただし、同規定はマドリッド国際出願には適用されない。

尚、上記の草案は決定的なものでなく、今後変更される可能性がある。


[出典:KIM & CHANG]


日本:特許庁とASEAN各国知的財産庁、知的財産に関する協力覚書を締結

特許庁は7月11日、シンガポールで開催された第2回日ASEAN特許庁長官会合で、ASEAN各国の知的財産庁との間で知的財産に関する協力覚書が締結されたと発表した。

協力の具体的内容は以下の通り:

  • 産業財産政策に関する経験・知識の交換、国際基準と調和した法律・法令・規則・マニュアルの改正を含む、産業財産保護制度の改善
  • それぞれの国内法と調和した、国際的なワークシェアリング、審査の品質監理及び審査官の研修に関する経験・知識の交換、統計データの共有を含む、透明かつ合理化された審査手続及び審査実務
  • 行政管理及び情報技術基盤/システムの経験の交換を含む、産業財産権行政の改善
  • 中小企業を含む民間部門による産業財産の活用の発展
  • 公衆の産業財産意識の向上のための適切な取組についての情報の交換と協力
  • アセアン知財庁の能力向上のための人材育成についての協力

特許庁は今後、同覚書を踏まえつつ、ASEAN各国の知的財産庁に対し人材育成やIT化支援、商標や意匠に関する国際協定への加盟支援、国民の知財意識向上等による模倣品対策など、知的財産に関する協力をさらに進めていくとしている。


[出典:経済産業省]


EU:ACTA(偽造品の取引防止に関する条約)否決

欧州議会は7月4日、偽ブランド品の流通防止に関する国際協力などを盛り込んだ「偽造品の取引防止に関する条約(ACTA)」を反対多数で否決した。

これはリスボン条約による国際条約秘訣権限を欧州議会が初めて行使したものであり、又EUが承認した条約を欧州議会が否決するのはこれが初めてである。

ACTAは知的財産権侵害の防止、特に、地球的規模での模倣品・海賊版の拡散の防止を目的とする条約で、(1)国際協力強化、(2)堅実な執行実務の推進、(3)刑事執行・国境での執行・民事及び行政の措置・インターネット上での知的財産権侵害物の配信の各分野における知的財産権の執行強化の法的枠組みを規定している。

ACTAに関しては、2006年のG8サミットでの日本の提唱をもとに、2008年から交渉が行われ、2011年10月には日本、米国、オーストラリア、カナダ、韓国、シンガポール、ニュージーランド、モロッコの8カ国が署名。2012年1月にはEUも承認し、批准の手続きが進められている。
しかし、ACTAはその条文が不明確で、特にインターネット関連では、ISPに対する監視や規制など、ネットの自由の侵害につながる恐れがあるとして世界中で反対運動が展開され、特に、欧州では、EU承認後の2月に大規模な反対デモが発生。
欧州議会には280万人が署名した批准否決の請願書が提出されていた。

このような背景もあり、欧州議会は、賛成39票、反対478票、棄権165票で、ACTAを批准しないことを決定した。
なお、日本も署名済みであるが、国会ではまだ批准はされていない。


[出典:European Parliament News]


パレスチナ:IP e-Gate運営開始

パレスチナ経済省はウェストバンクにおいて、商標特許用のアラビア語の知的財産電子データベース運営を開始した。

同データベースは知的財産権に関するマニュアル、公報、各種協定等の情報を含む。更に、出願書類の受付、調査等が可能である。
同データベースは来年度より英語版もリリースされる予定である。

同データベースのURLは下記の通り。


[出典:AGIP]


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