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2015.06.23IP中国:漢字商標の重要性の再確認


中国:漢字商標の重要性の再確認

  • 中国においてはローマ字のブランドであっても、その音訳又は翻訳となる漢字商標の保護の重要性が強調されていたが、この都度その重要性を再確認する判例が2つ下され、いずれも正当な商標権者に不利な内容となっている。

2013年07月、アメリカの有名な運動靴ブランド“New Balance”は、中国で商品販売において“新百倫”の文字を使用したため、広州市在住の周氏に商標権侵害と訴えられた。このたび、広東省広州市中級法院(広州地裁)は、本件に対して原告の権利を認め、被告“NewBalance”の中国関係会社は権利侵害と認められ、9800万元の損害賠償の支払を命じられた。本件は今まで広州地裁の商標権侵害事件において最も高額の賠償事件であった。
原告周氏は、第25類の「服装、靴等」を指定し、それぞれ第865609号の“百倫”商標と第4100879号の“新百倫”商標を登録した。第865609号の“百倫百倫”の商標は1994年08月に出願し、1996年08月に登録した。第4100879号の“新百倫”商標は2004年06月に出願し、2007年10月に商標局の審査を経て公告された。

その後、“New Balance”のブランドを所有するアメリカ新平衡運動靴公司(NEW BALANCE ATHLETICSHOE, INC.、以下、新平衡公司という)は当該商標に対して異議申立を請求した。その理由として、当該商標が“New Balance”の商標を模倣しこの商標と類似する疑いがある。2011年07月、両商標は類似ではないとする審決が商標局から出され、新平衡公司が再審査を請求せずに、第4100879号“新百倫”商標は登録された。

2003年、アメリカ企業は“New Balance”を“新百倫”に中訳して上海市でその関連会社新百倫貿易(中国)有限公司(以下、“新百倫公司”という)を創立し、関連商品を中国へ販売している。新百倫公司はインターネット上で天猫ショップと京東ショップに開設した旗艦店に“新百倫公式旗艦店”の文字を使用;カタログに“New balance/新百倫”の標章を使用;公式サイトで“新百倫公式サイト”“新百倫”の標章を多数に使用;また、宣伝資料や領収証およびレシートなどにも複数回“新百倫”の標章を使用していた。

新百倫公司は“新百倫”の使用は善意の先使用であり、“新百倫”を“New Balance”商標の中訳、商品の中文名称、ブランド所有者名称の中訳として合理的に使用しており、原告の登録商標権を侵害していないと主張した。
しかし広州地裁は、周氏の商標権2件は合法的であり、新百倫公司が商品販売際に“新百倫”の文字を使用する行為は、商標的使用であること、また“新百倫”は“New Balance”の音訳または意訳ではなく、その意訳は中文の“新平衡”であると判断し、侵害行為の停止、損失賠償の支払いを命じた。被告の侵害行為は販売侵害行為に属し、直接販売商品に“新百倫”の文字を使用していないため、賠償金額が販売利潤の1/2となり、合計9800万人民元を支払う判決が下された。現在“New Balance”側が上訴の準備を進めている。

またマイケル・ジョーダン事件に関してもこのほど同氏に不利な判決が出た。
2015年05月12日、米プロバスケットボールリーグNBAの歴史に残るスーパースター、マイケル・ジョーダン氏が中国スポーツ用品メーカーを相手取り、「名前や肖像を無断で借用された」として同社を訴えていた問題で、中国の裁判所は一審の判決を支持し、この訴えを棄却したことが分かった。

ジョーダン氏は1984年のロサンゼルスオリンピック以降中国国内で有名となり、その中国名称「喬丹」は瞬く間に中国全土で認識されるようになった。これに目を付けた中国のスポーツ用品メーカーは名称も「喬丹(チャオダン)体育」とし、1998年以降ジョーダン関連の商標を100件以上出願・登録した。そもそも社名に冠した「喬丹」からして、「ジョーダン」の音訳語である。同社はロゴマークにも現役時代のジョーダン氏のシルエットを彷彿させるイラストを使用。また、同氏の背番号として知られる23番を付した衣類を販売していることもあり、多くの消費者は自然とジョーダン氏を連想することになる。
2012年02月、ジョーダン氏は「無断で氏名と肖像を使用され、精神的損害を被った」として中国の裁判所で訴訟を起こした。

現在、関連の訴訟は78件に上っている。うち、32件に関してこのほど北京高級人民法院(高裁に相当)は、原告の訴えを棄却した。ジョーダン氏の代理人を務める弁護士は「判決内容は誠に遺憾」と不満を表明し、最高人民法院(最高裁に相当)に上訴する構えを見せている。ジョーダン氏は「私は中国の法律を尊重する。また、中国の法律が私の合法的権利を守り、消費者をミスリードから守ってくれると信じている」とコメントした。

「喬丹体育」は2000年に福建省で設立され、中国では相応の知名度を有するアパレルメーカーである。同社の言い分としては、「『喬丹』はあくまで一般的な人名『ジョーダン』の表記法のひとつであり、必ずしもマイケル・ジョーダン氏個人と結びつけられるものとは限らない」としている。


[出典:Shanghai Patent & Trademark Law Office, LLC]


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