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2016.04.26IPインド:特許意匠商標総局、誤りにより20万件の商標出願を放棄処理に(続報) 他


インド:特許意匠商標総局、誤りにより20万件の商標出願を放棄処理に(続報)

前号でお伝えしたインドの件について、インド国内の企業、法律事務所、知財関係団体は、インド特許意匠商標総局が行った上記の取り扱いに対し、当該取り扱いの停止を求める嘆願書をデリー高等裁判所に提出していた。
この嘆願書に対して、デリー高等裁判所は2016年04月05日、2016年03月20日以降に発せられた全ての放棄処分に関して停止し、法律に規定された手続を行わずに更なる放棄処分を行うことを禁じる命令を出した。

これを受けて商標局は2016年04月11日付通知において、2016年03月20日以降同局より発せられた放棄命令について停止し、電子ファイルによって拒絶理由等に対する対応を行うことができると公布した。もし既に書面等が提出されており、同局が誤って放棄処分とした場合には、提出した書面とともにその旨をメールで知らせるよう勧めている。

本件に関しては2016年05月12日にヒアリングが開催される予定である。


[出典:Remfry & Sagar]


インド:異議申立における調停・斡旋手続導入(続報)

2016年03月08日号で、異議申立の審判遅延解決のため、インド特許意匠商標総局がデリー法律サービス庁(DELSA: Delhi State Legal Service Authority)と連携し、デリー商標局の紛争案件に調停・斡旋手続(Mediation and Conciliation)を導入することをお知らせしたが、この時点では試験的に500件の案件が選択されていた。
同局は2016年03月31日付で通知を出し、現在審査中の全ての異議申立等案件について調停・斡旋手続を選択できると公布し、当該手続を選択すると案件はDELSAに移送され1987年法律サービス庁法に基づき調停が行われる。

尚、調停等手続の選択は義務ではないが、同意する場合当事者は2016年04月30日までにその選択を伝えなければならない。


[出典:Lall Lahiri & Salhotra]


マレーシア:2015年の商標出願過去最高に

マレーシアにおいて2015年度に出願された商標件数は35,923件に上り、過去最高を記録した。このうち56%は国内出願人によるものである。
海外からの出願は1位がアメリカ、2位が日本であった。
マレーシア知的財産庁(MyIPO)の審査も早期化しており、2015年度に登録証が発行された出願は28,800件で、うち18,271件がマレーシア、10,529件が海外からの出願であった。

審査にかかる期間は最初の局指令発行までが通常出願日から6-9か月以内であったが、3か月以内に発行された例もあった。問題がない場合、出願は通常約10-15か月で登録証が発行される。
このような審査の迅速化はもともとマドリッドプロトコルへの加盟を目指して推進されてきたが、MyIPOは2016年後半での加盟を進めている。
また、併せて商標の資産化も進められている。既に2013年意匠法により、登録意匠は担保権の対象とすることができるが、商標法に関しても同様の改正が行われる予定である。


[出典:Henry Goh & Co Sdn Bhd]


タンザニア:知的財産法改正

2011年2月22日号でお伝えした通り、ザンジバルでは2008年09月13日に新商標法が発効されたものの、施行規則が公布されず、その施行が不明のままだった。
2015年04月17日、ようやく公報に施行規則が掲載されたが、その事実は最近まで明らかになっていなかった。施行規則は以下で確認できる。

改正法によってようやくザンジバルで役務商標、団体商標、証明標章、音、色、匂い等の新しいタイプの商標の登録が可能となる。
施行規則では書換えの手続も定められ、ライセンス登録も可能となった。


[出典:JAH & Co., IP]


中国:登録証発行開始

2016年04月07日、中国商標局は同局の公式サイトにおいて、「国家工商総局スポークスマンは5月末までに滞積していた商標登録証を全部発行することを明確に表明した」との情報を掲載した。

2015年08月から中国商標局による国内外の商標出願者への商標登録証の発行が一時中断するようになった。官庁によると、商標登録証のプリント用紙が切れてしまい公式手続きを踏みながら仕入れを行わなければならなかったが、手続き及び部門間の連携に問題が起こったため、このようなあるまじき事態に至ったということである。
この状況については、出願人・代理人双方から強い不満が発せられていたのみならず、商標登録証発行の遅延は、商標権利者に多大なリスクをもたらした。
例えば、登録証を提供できないことにより、一部のデパート、スーパーマーケット、オンライン・ショッピングモールはリスク回避のため同権利者の商品を棚下げしたり、即時に権利が行使できず、企業のブランド保護に多大な影響を及ぼしたこともある。

2016年04月07日に、この事実が新聞紙上で明らかとなり、同日、工商総局はこの問題を重視する姿勢を表すと同時に、同局の公式サイトにおいて、商標登録証のプリント用紙が到着し、03月28日から局内では残業もしながら急遽登録証の印刷・発行を行っていることを発表し、権利人への謝罪を表した。

しかし商標局では滞積問題の処理にまだ2か月近くの時間がかかり、また、代理人が権利人へ登録証を送付するについてもチェックに一定の時間を要するので、一部の代理人は実際の経営において商品が棚下げに迫られるような事態に遭う場合、商標の登録状態を証明するために、関連機関に上記官庁の説明を明示すると同時に、商標局データベースからダウンロードした商標登録の情報シートを提示することを提案している。


[出典:King & Wood Mallesons]


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