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2017.01.11IPEU:立体商標登録が無効に


EU:立体商標登録が無効に

最近、EUで登録された立体商標が次々と無効になっている。
2016年11月10日、欧州司法裁判所はルービックキューブの立体商標を無効とする判断を示した。
ルービックキューブの立体商標は欧州で1999年に登録されている。これに対してドイツのSimba Toysが2006年、ルービックキューブの形状は立体パズルの回転機構と強く結び付いているため、立体商標の登録は無効であるとEU知的財産 庁(EUIPO)に訴えた。しかし、EUIPOでは1審・2審ともに訴えを却下しており、この判断の取消を求めた訴えも欧州一般裁判所に棄却されたため、Simba Toysが欧州司法裁判所に上訴していた。
欧州司法裁判所では共同体商標に関する欧州共同体理事会規則40/94の第7条(1)(e)(ii)が技術的な方法や機能による特徴の独占を防ぐためのものであると指摘し、ルービックキューブの形状と機能の結びつきを考慮する必要があったと述べている。さらに、出願書類では回転機構について触れられておらず、形状と機能の結びつきを判断できなかった点も指摘。欧州一般裁判所の判決を破棄し、ルービックキューブの立体商標登録を有効としたEUIPOの決定を無効と判断した。
また、2016年12月15日、欧州一般裁判所は食品で世界最大手のネスレ(スイス)のチョコレート製品「キットカット」について、欧州連合知的財産庁(EUIPO)が2006年に認めた形状の商標登録を無効とする判断を下した。
4本のチョコレートバーが連なった「キットカット」の4フィンガー版の形状をめぐっては、競合の英製菓・飲料大手キャドバリー・シュウェップスが2007年に商標登録の取消を申請したが、EUIPOはこの形状がキットカット特有のものとして認知されているとの見解に基づき、同社の要請を却下していた。
しかし後にキャドバリーの親会社となった米食品大手モンデリーズ(Mondelez)・インターナショナル(旧クラフト・フーズ)がEUIPOの判断を不服として欧州司法裁判所に提訴。同裁は今回、4フィンガーの形状が当時の全EU加盟国でキットカットのものと幅広く認識されていたとは言えないとして、EUIPOによる商標登録の決定を「法解釈の誤り」と断じている。


[出典:Novagraaf]


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