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2017.12.26IPカナダ・アメリカ:世界共通のインターネットを巡るGoogleの闘い 他


カナダ・アメリカ:世界共通のインターネットを巡るGoogleの闘い

Google Inc 対 Equustek Solutions Inc [2017] SCC34 判決において、カナダ連邦最高裁判所は、Googleに対して全世界のインターネットからEquustekの知的財産権を侵害するインデックスを削除するよう命じた

この事件はEquustekの企業秘密を盗み競合製品を製造・販売する元代理店DatalinkをEquustekが訴えたものだ。2011年に州裁判所がDatalinkに在庫の販売禁止などを命じたが、同社が国外移転して販売を継続したため、EquustekはDatalinkのWebサイトをインデックスから削除するようGoogleに要請した。Googleは、任意のWebサイトでのDatalinkの営業を禁ずる州高等裁判所の差止命令を経て対応を行ったが、カナダ版(google.ca)で特定のページを削除するにとどまった。

これに対し、EquustekはWebサイト全体を全世界の検索インデックスから削除するようGoogleに求め、その差止命令を勝ち取った。Googleは、カナダ以外でのインデックス削除命令は各国の主権侵害であり、表現の自由の侵害にもなると主張して上訴したが、州控訴裁判所はこれを棄却し、連邦最高裁は、言論の自由が製品の違法な販売を助長すると判断したわけではないが、今回の場合、製品の違法販売はオンラインで世界的に行われている。インターネットに国境はない。インターネットは元来、世界的なものだとして差止命令は有効との判断を示した。

これ以上カナダで上訴できないGoogleは、米国ではカナダの裁判所命令が無効であることの確認や差止などを求め、米国でEquustekを訴えた。Googleはカナダの裁判所命令が国際法に反する点、表現の自由を侵害する点のほか、Equustek側が米国法における権利侵害について何も証明していない点などを挙げ、略式判決を求めていた。

しかし、Equustek側は裁判の手続きに一切顔を見せず、米国で弁護士を雇うこともなかったという。さらに、Google側が2017年10月31日に裁判所へ提出した文書によれば、EquustekのCEOで被告の1人であるRobert Angus氏が本件について争うつもりはないとGoogleの弁護士に伝えていたとのことである。そのため、同文書でGoogleは懈怠判決を求めている。Equustek側の真意は不明だが、表現の自由を重視する米国での裁判は勝てる見込みが小さく、コストや労力を考慮した可能性もある。

カリフォルニア北部地区連邦地裁は、カナダの裁判所命令がGoogleをパブリッシャーとして扱っていることからアメリカ通信品位法230条に違反すると判断した。これにより、Googleは再びカナダの裁判所に戻り、恒久的な差止を要求できることになる。

この闘いでGoogleが守ろうとしているのは「世界共通のインターネット」という概念そのものだが、かなり厳しい闘いになることが予想されている。
Googleによる抵抗の背景には、世界中でコンテンツの削除を求める裁判所命令などが相次いでいる実情がある。
2015年8月13日号でも少し触れたが、EUの欧州司法裁判所は、「忘れられる権利」に関するEUの法律をEU外にも適用すべきかどうかを判断しようとしている。
そのほかにも世界各地で、全世界でのコンテンツ削除を求める訴訟が何十件も裁定を待っている。

インターネット関連法の専門家は、ソーシャルメディアに関連した各国の法律が全世界で有効だと認めることは、厄介な前例になりかねないと口をそろえる。今回のカナダの訴訟でも、「報道の自由のための記者委員会」と「ウィキメディア財団」はGoogleを支持すると表明した。

例えば、ある国では容認可能な意見でも、別の国ではヘイトスピーチと捉えられることがあり得る。オンラインで許される言論の定義が国によって大きく異なれば、インターネットは「スプリンターネット(分断されたインターネット)」になってしまうかもしれない。つまり、たまたまインターネットにアクセスした場所で、文化的に問題ないとされているコンテンツのみを閲覧できる世界となり、もしそうなれば、世界共通のインターネットという概念そのものが脅かされるだろう。
多くの国がGoogleに多くの要求を突き付け、検索結果に干渉するようになれば、検索ツールそのものの品質が損なわれてしまう。

アメリカでGoogleに有利な裁定が下されても、カナダの原告が法執行を求めた場合、これを差し止めることはできない。しかも、カナダの法律に従わなければ、Googleは法的・経済的なリスクにさらされる。
Googleにとっては非常に厳しい経営判断となると予測される。


[出典:Buddle Findlay]


パプアニューギニア:知的財産庁のWebサイト改善

パプアニューギニア知的財産庁(IPOPNG)は最近、同庁のWebサイトhttp://ipopng.gov.pg/の改善のための一連のプロジェクトを発表した。
これにより、同庁のDBは商標の検索エンジンが解説され、これはWIPOがホストするものである。IPOPNGがどの頻度でデータをアップデートしているかは不明だが、現時点で、新規商標出願がオンラインで公開されるまで最大で3か月のタイムラグがある。


[出典:Shelston IP Pty Ltd]


イラク:更新に関する新プラクティス

イラク商標局は、更新について登録証が発行されていない場合でも発行を始めると公布した。ただし、公告費が支払済みで公告されていることが条件となる。


[出典:Abu-Ghazaleh IP]


WIPO:ニース国際分類第11版導入

WIPOは2018年1月1日よりニース国際分類第11版の2018年版を発効すると発表した。2018年改訂版は近々WIPOのWebサイトで公開予定である。これに基づき、マドリッドプロトコルのGoods and Services Managerもアップロードされる予定である。
尚、2018年1月1日以降に申請された国際登録の更新や事後指定について、2018年改訂版により再分類されることない。


[出典:Stobbs IP]


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