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2023.01.11IP中国:国家知的産権局:不使用商標に対する職権による取消規定を追加する予定


中国:国家知的産権局:不使用商標に対する職権による取消規定を追加する予定

国家知的産権局は、第十三回全国人民代表大会第5回会議第2505号「商標法及びその実施条例への修正」に関連した提案への回答を公示した。
回答内容として、商標の使用義務を強化し、現有の登録制度を堅持しながらその欠点を改善し、「登録重視・使用軽視」の問題を解決する意向について言及した。
具体的には、下記の通りである。

1、制度設計において公共利益と私権利益のバランスをよりよく体現する
今回の商標法及びその実施条例の修正において、人民至上、社会の公平正義と公平な競争市場秩序、社会の高品質発展の理念に従い、権利保護と公共利益、社会効果、先行権利との間のバランスをより重視し、権利行使範囲を明らかにし、公共利益の保護不十分の問題を解決する。
具体的には、下記の内容が含まれる。

① 商標領域の誠実信用の強化
欺瞞的な手段若しくはその他の不正な手段での登録禁止の強調、虚偽の資料を提出した場合の法的責任の所在の明確化、およびそれに伴う監督と懲罰の強化。
② 悪意に基づく商標出願の規制
罰金の増加、悪意に基づく冒認商標出願による損失への民事賠償責任およびその後の権利移転制度の制定、地名商標の使用禁止・登録禁止の規則の改善。
③ 商標権の権利行使の規範確立、権利濫用の防止、商標権の範囲の明確化
不正な権利行使についての商標権取消規定を追加する予定、悪意訴訟の逆賠償の採用。
④ 商標審査の社会性の強化
職権による商標公告の撤回プロセスを設置する予定。
⑤ 商標代理業界への監督強化
商標代理業界参入基準の明確化やそれに基づいた商標代理行為の規範化。

2、商標審査審理手続きの最適化
商標審査審理手続きの最適化に着目し、商標の審査審理・運用管理・行政執法・司法審判などの効率的な協力体制の確立を促進する。
具体的には、下記の内容が含まれる。

① 商標審査の品質と効率及び争議の解決効率を上げ、異議申立審判の審査期間の短縮、審査方式の改善、救済手続きの改善などにより、出願人当事者の権利獲得および権利保護と管理のコストを下げる。
② 各手続きの間の連携を促進、費用納付・受理・撤回・中止・同日出願と重複出願の関連規定の改善を研究し、無駄な手続きと行政資源の浪費を回避する。
③ 制度間の協調を強化し、商標法と他の法律、および関連する国際条約との連携とマッチングを改善する。

3、商標の使用義務と権利保護範囲の強化
商標の使用義務の強化を継続し、現有の登録制度を堅持しながらその欠点を改善し、「登録重視、使用軽視」の問題を解決する。
具体的には、下記の内容が含まれる。

① 商標の使用概念を最適化し、使用の基礎地位を強調する。
② 三年間連続不使用取消制度を保留する上で、商標使用承諾と存続期限における使用状況説明の自発提出などの制度導入の可能性を研究する。
③ 職権による不使用商標への取消規定を追加する予定である。
商標登録人の商標使用承諾未提出、使用状況説明未提出、及び商標権の不正行使などの情状について、国家知識産権局が職権により当該登録商標の取消が可能となる。

4、技術の発展に適応する
科学技術と経済社会の発展の需要に適応し、市場を主体としてより大きな利便性を提供する。
具体的には、下記の内容が含まれる。

① 権利保護を強調し、社会主義市場経済の高品質発展を制度の目的にすることで、理念を更新し、商標法体系・立法の目的を改善する。
② 商標業界のデジタル化を促進する。電子システムによる出願、電子システムによる送達、電子版証拠、電子版登録証、電子版文書・電子版ファイルに関連規則を改善し、手続きの電子化を促進する。
③ インターネット環境での商標専用権と馳名商標の保護を強化し、「有名ブランドに似せる」「フリーライド」等の悪意行為を打撃する。
④ 商標ブランドの構築をサポートし、国家・地域及び産業の発展に尽力する。
⑤ 改革後の政府職能の変化に適応し、管理部門と執法部門の責任と義務を明確し、商標領域の整理能力を上げる。

出典元代理人コメント:
2019年の商標法改正では、冒認出願への打撃を強化したが、今回の商標法改正では、更に不使用商標への職権による取消規定が追加される予定である。
これにより、商標登録人の商標使用承諾未提出、使用状況説明未提出、及び商標権の不正行使などの情状について、国家知識産権局が職権により当該商標を取り消すことができる。
これまでは、登録後、他人による不使用取消審判が提起されない限り、商標登録は安全であった。
但し、このような改正により、商標登録人には使用の承諾や使用証拠を提出する義務が付加され、関連資料を提出できない場合、国家知識産権局はその登録を取り消すことが可能となる。
この場合、冒認出願をある程度抑制でき、本来の権利者にとって有利である。
なお、この改正には時間がかかり実務プラクティスに即時反映されるかは不明確であるため、安全に自社利益を保護するためには、できる限り早く出願することをご提案する。


[出典:Kangxin Partners PC]


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