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2025.12.09IPバハマ:新施行規則の公表


バハマ:新施行規則の公表

バハマ知財庁(BIPO)は、商標・特許・著作権に関する新たな知財法が2025年2月1日付で遡及的に施行されたと発表した(バハマ:商標法施行)。
発表時点では、運用に不可欠な施行規則(Implementing Regulations)はまだ存在せず、手続きを行う実務家たちは二次法令の公布を待つ状態にあり、BIPO も完全なサービス提供を行ってはいなかった。

出願日(filing date)の付与のみ継続され、規則整備後に正式処理する方針であったが、この状況は夏になっても変わらず、実務上相当の不確実性が存在していた。
もっとも、Trade Marks Act 2024 は、
・サービスマーク制度の導入
・国際分類(NICE)の採用
など、大幅な改善を含むことから、業界としては前向きな期待が寄せられていたこともあり、現在までの動きを以下のとおり整理する。

■ 施行規則は7月に公表(効力は2025年5月21日に遡及)
BIPO は7月に施行規則をようやく公表し、その効力は2025年5月21日まで遡及するとした。
しかし、規則の複数条項についてはなお実務上の解釈が不明確であり、当局との協議は継続中である。
また、法の発効日(2月1日)と規則の発効日(5月21日)の移行期間に行われた出願等手続の扱い、規則の遡及適用が発効後にどのように及ぶかについても明確にされていない。

その一方で、以下の新しい運用が導入されている。

■ 新たに導入された運用
1. 商標の公式手数料の引上げ
商標登録出願および更新費用が値上げとなった。
2. 多区分出願の導入
多区分出願が解禁され、複数区分の出願においては費用増加を部分的に相殺し得る費用体系となった。
3. 異議申立期間の延長と期限の柔軟化
公報発行日から1か月が2か月に延長された。期限が休日・週末の場合、翌営業日に自動繰越と規則で明示された。
4. 優先権書類提出期間の拡大
優先日から 3か月後までの提出が認められるようになった。
5. 期限延長の裁量拡大
当局は、期限について延長を認める裁量権を有しており、期限徒過後の延長申請であっても、期限徒過日から3か月以内に理由を付して提出された場合には、延長が認められ得る。
もっとも、この種の延長は全面的に当局の裁量によるものであるため、実務上は適用される期限が到来する前に申請を行うことが強く推奨される。
6. 更新対応
更新期限までに更新料が支払われない場合、当局は官報(Gazette)にその旨の通知を掲載する。
その後、権利者は1か月以内 に更新料および延滞料を支払う必要があり、これを行わなかった場合、商標は抹消され(抹消の効力は元の満了日に遡って発生)する。
抹消された商標は、当局の裁量により復活(restoration)させることが可能であり、復活申請には期間制限はない(公式手数料:350米ドル)。
ただし、登録抹消を覆すのに「どの程度の理由が十分と認められるか」については、現時点で明確な基準は示されていない。
7. 権利移転書類の要件は未確定
従来、権利移転の書類要件は厳格で実務負担が大きかったため、新規則に基づく書類要件については、現時点では当局の公式確認待ちとなっている。
8. 不服申立期間
当局の決定に対する不服申立(appeal)は、決定日から 1か月以内(裁判所が認める場合は延長可)。

■ 追加手数料について
値上げされたオフィシャルフィーに関し、7月に公表された施行規則に定められた手数料の値上げに基づき、追って追加手数料の支払いが必要となる。
手数料改定額が不明であった移行期間中に提出された出願であっても、追加手数料の免除(amnesty)は一切適用されない。
2025年5月21日以降にバハマで商標登録出願の申請を行い、現在係属中の案件がある場合、今後数か月以内に現地庁(IPO)から追加手数料の請求が届く可能性がある。


[出典:Caribbean IP]


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