IPニュース IPニュース

商標・著作権・特許・意匠・ドメインネームなど、知的財産権全般にわたる世界中の出来事を集約。
注目すべき主なニュースをわかりやすい記事にまとめ、リリースいたします。

2026.06.23IPメキシコ:商標権者の名称・名義変更が義務化(続報)


メキシコ:商標権者の名称・名義変更が義務化(続報)

2026年5月12日号にて2026年4月3日に公布された産業財産権保護連邦法の改正に関してお伝えしたが、今回は、改正項目の一つである「登録商標権者の名称・名義変更の義務化」について説明する。
なお、今回の改正は、メキシコにおける知的財産管理に大きな影響を与えるものである。

本改正により、商標権者の名称・名義に変更が生じた場合、メキシコ産業財産庁(IMPI)への登録が法律上、義務化された。
名称変更や名義変更は、それ自体は有効な法的行為であるが、第三者に対抗するためには、メキシコ産業財産庁(IMPI)への登録が必要となる。
この登録により、第三者は商標登録の権利者を確認することができ、特に訴訟などの権利行使の場面で重要な意味を持つ。

名称・名義変更をIMPIに登録しなかった場合の影響
変更をIMPIに登録しなかった場合には、以下のような不利益が生じる可能性がある。

第三者に対する効力
IMPIでの変更の記録がなければ、第三者に対して効力を生じない。
譲受人が商標権者として主張するためには、IMPIへの譲渡事実の登録が必須である。
名称変更にも同じ原則が適用される。

法的安定性の向上
商標制度における法的安定性とは、商標に関する排他的権利が、実際に当該商標を使用し、事業に利用している者に帰属すること(商標真正性の原則)を確保することを目的とするものである。
これにより、商標権者の権利が保護されるとともに、消費者は商品又は役務の出所を正確に識別することができる。

当事者適格の確保
IMPIの登録簿に正式な権利者として記録されている者のみが、異議申立、取消請求、侵害対応などの権利行使や、第三者からの異議・取消請求等に対する防御を行うことができる。
つまり、名称変更や名義変更が未登録の場合、「権利者ではない」と判断され、その結果、権利行使や防御のために提起した手続は受理されず却下されるか、あるいは手続開始後にその事実が判明した場合には、本案について審理されることなく手続自体が棄却される可能性がある。
IMPIでは、登録簿上の権利者と実際の権利者が一致しない場合、変更が登録されていない新たな権利者に当事者適格を認めない可能性がある。
その結果、第三者から異議申立や取消請求等を受けた場合でも、新しい名称・商号では商標権を防御することができず、登録簿上の旧名称・旧商号の権利者のみが正当な権利者として取り扱われる。

商標権の維持手続への影響
登録後3年目の使用宣誓書の提出や10年ごとの更新申請において、商標登録簿上の権利者名と異なる名称・商号で申請した場合、事前に名称・商号変更の登録を済ませていなければ、IMPIは当該申請を受理しない。
そのため、権利維持手続を行う前に権利者情報を最新の内容へ更新しておく必要がある。

各種手続の継続性
権利者の名義を最新にしておくことで、住所変更、契約・ライセンス登録その他の各種手続を円滑に行うことができるほか、IMPIからの通知や指令にも適切に対応することが可能となる。

商業的価値
商標は企業の重要な資産であり、譲渡や融資を受ける際の担保として利用することもできる。
このような取引を行うためには、商標権の所有者であることを証明する必要があり、担保権の設定についても、多くの場合、メキシコ産業財産庁(IMPI)への登録が行われる。

以上の理由から、特にメキシコにおける商標権者情報については常に最新の状態に維持することを推奨する。
これにより、商標が有する経済的価値を十分に活用できるとともに、権利者情報を更新しないことによる法的リスクや実務上の問題を回避することができる。


[出典:UNGRIA Patentes y Marcas S.A.]


IPニュースの定期購読

IPニュースの定期購読(無料)も受け付けていますので是非ご利用ください。
購読をご希望の方は下のボタンからお申込みください。