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2026.06.23IPベトナム:商標異議申立における著作権の利用


ベトナム:商標異議申立における著作権の利用

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2026年3月、ベトナム知的財産庁(IP Office)は、著作権を根拠とする異議申立を検討した結果、異議を受けた商標登録出願を拒絶する決定を下した。
本件は、異議申立時に外国ブランド所有者がベトナムにおいて商標登録や出願を一切有していなかったにもかかわらず、異議が認められた点、ならびに同庁が従来、著作権に依拠した異議申立に対して厳格な運用を行ってきた点から、注目に値する。
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・異議申立
Maurtenは、革新的なハイドロゲル技術により世界的に認知されているスウェーデンのスポーツ栄養ブランドである。
同技術は、持久系アスリートが胃腸の不快感を伴うことなく、より効率的にエネルギー補給を行えるよう設計されている。
同ブランドの特徴的なロゴは、シンプルな線と大胆な白黒配色により構成されており、長年にわたり同社のパフォーマンス製品と結び付けられてきた。


 
当該ロゴと同一の商標が、ベトナムにおける商標スクワッターにより出願された。
2023年、ベトナム人個人が同一の商標について商標登録出願(出願番号:4-2023-38668)を行った。
これはベトナムにおいて一般的に見られる商標スクワッティングの典型例である。
ブランド所有者は、戦略の検討および異議申立手続につき、代理人に対応を依頼した。
当時、Maurtenはベトナムにおいて商標権を有しておらず、実質的な使用実績もなかった。
また、グローバルなマーケティングデータも現地でのプレゼンスを裏付けるには十分ではなかった。
このため、スクワッターの出願を拒絶させるための戦略として、商標権や使用実績への依拠ではなく、ロゴそのものに係る著作権保護を中心とした主張が行われた。
ベトナムでは著作権は創作と同時に発生し、登録を要しない(もっとも、同庁は従来、著作権を根拠とする商標拒絶については慎重な姿勢を示してきた点に留意が必要である)。
2024年9月24日、以下の3点を主たる理由として異議申立が行われた:
・混同を生じるおそれのある類似性
・美術著作物に対する著作権侵害
・出願人の悪意
ただし、主たる主張は著作権に据えられ、2022年の知的財産法改正、特に新設された第73条第7号が活用された。
同条は次のように規定する。
「著作物の権利者の許諾がない限り、その著作物の複製を含む標識は商標として保護されない。」
異議申立書類には、デザイン要素、曲線および全体的な視覚的印象の観点から、両商標が完全に同一であることを示す対比資料が提出された。
また、当該ロゴが著作権法上保護される応用美術作品に該当することの立証にも重点が置かれた。
約17か月の審査を経て、2026年3月9日、知的財産庁は通知第30919/SHTT-NHを発出し、著作権に基づく主張を全面的に認め、同日付で本件商標出願を拒絶した。
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ブランドオーナーにとっての示唆
本件は、外国ブランドオーナーにとって、現地で商標登録を取得していない場合であっても、独創的なロゴやデザイン要素をベトナムにおいて保護し得る実務的手段が存在することを示すものである。
また、適切な主張および証拠があれば、従来の商標法上の根拠が利用できない場合であっても、悪意による商標出願に対して有効に対抗できることを示している。
本件から得られる主なポイントは以下のとおりである:
■ 有効な防御手段としての著作権
独創的なロゴや図形要素は、ベトナムにおいて自動的に著作権保護を受ける。
適切な事案においては、現地の商標権、著作権登録証、または使用実績がなくとも、同一または実質的に類似する図形商標の登録を阻止できる可能性がある。
■ 早期モニタリングの重要性
2026年4月1日以降、異議申立期間は公告日から3か月に短縮されたため、現地登録を有しないブランドであっても、模倣出願を速やかに把握し、適時に異議申立を行うための商標監視体制を構築することが重要である。
■ 証拠準備の戦略性
保護対象となる美術著作物に焦点を当て、明確な視覚的比較資料を提出することは極めて有効である。
また、出願人の悪意を示す証拠を併せて提示することで、主張全体の説得力が一層高まる。
■ 複数理由による異議申立の有用性
本件は主として著作権に基づいて判断されたものであるが、周知性や悪意といった他の理由を併せて主張することにより、より強固な保護効果を得られるとともに、審査官の判断にも影響を及ぼし得る。


[出典:Tilleke & Gibbins]


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