2019.07.09IPアメリカ:「不道徳な」商標登録禁止は憲法違反と判断される
アメリカ:「不道徳な」商標登録禁止は憲法違反と判断される
2019年06月24日、アメリカ連邦最高裁判所は不道徳な表現やスキャンダラスな表現の商標登録を禁じたランハム法第2条(a)の規定が表現の自由を定めた合衆国憲法第1条に違反するとの判断を示した。
この裁判はアメリカ特許商標庁(USPTO)が商標「FUCT」の登録を拒否したことを不服として、ファッションブランド「FUCT」を展開するErik Brunetti氏が知財担当商務省次官兼USPTO長官のAndrei Iancu氏を訴えていたものである。Brunetti氏によればFUCTは「Friends U Can't Trust」の頭字語で、「F-U-C-T」のようにアルファベットを1文字ずつ発音するとのことだが、USPTOの審査官は単語として読んだ場合の発音が「Fucked」と同様だと判断し、ランハム法第2条(a)で禁じる不道徳・スキャンダラスな表現にあたるとして商標登録を拒絶した。Brunetti氏はUSPTOの商標審判部(TTAB)への不服申立を請求したが認められなかった。その後、控訴裁判所がBrunetti氏の主張を認めたため、被告側が上告していた。
アメリカ連邦最高裁では2017年、侮蔑的表現を含む商標の登録拒否が表現の自由を侵害するとの判断を示している。この際、法廷の意見は二分されたが、視点を基準に商標登録を禁止するのは違憲であることと、侮蔑的な表現を禁止するのは視点を基準にしたものだという2点で合意に達していた。今回の法廷では不道徳・スキャンダラスな表現の禁止についても視点を基準にしたものであり、実質的に適用範囲が広すぎることから第1条に違反すると判断し、控訴審判決が維持された。
[出典:財経新聞]
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