2006.12.12IPイギリス:相対的拒絶理由の審査廃止へ!
イギリス:相対的拒絶理由の審査廃止へ!
現在、イギリス議会では、イギリス商標法において長年採用してきた相対的拒絶理由審査の廃止にむけた改革を進めている。CTM制度との調和・一貫性を持つことを目的とするためだ。相対的拒絶理由の審査が廃止された後に、調査レポートの通知を行うか?誰に対して通知するか?について、大いに議論がなされた結果、出願人および先行権利者の双方に調査レポートを通知するという案が採択された。出願人および権利者が不要な経費と膨大な時間を費やすことなく、早期に紛争を解決できるようにするという趣旨による。今後は、先行商標権者がかかる調査報告を受けた場合にとりうる手続をどうするか、についてさらに審議が進められることとなる。審議は2007年10月を目処にまとめられる予定。その後、新制度の施行にうつるものと予想される。
- 解説
- イギリス商標法は8条(5)にて、相対的拒絶理由の審査制度に関する草案審議の留保規定、すなわちCTM制度導入後10年経過まで、かかる草案について議会の審議に付さないというを設けていた。CTM制度発足10年にあたる2006年、議会は早速相対的拒絶理由審査の廃止に向けて審議を開始した。8条は、「異議申立手続において相対的理由を提起するよう求める権限」について定めたものであって、相対的拒絶理由に関する審査が廃止された後には、異議申立が後願排除の重要なプロセスとなる。相対的理由の審査の代わりに出されることになるであろう調査レポートがどれほどの精度・有効性を担保したものかは不明。オフィシャル調査レポートを行う地域として老舗であったベネルクスも、精度について問題視された挙句、調査制度を廃止してしまった。こんな状況下、イギリスがどんな手続制度を確立させていくのか、今後の動向について要注意だ。
[出典:Field Fisher Waterhouse]
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