2011.08.11IPCTM商標の真正な使用(Genuine use)についての考察
場所
OHIMは欧州司法裁判所の、1つの加盟国における使用はCTM商標の正当な使用の証拠として十分であるとの判例に従っている。
この判例に従わなかった国内裁判所の決定が2例(ハンガリー及びベネルクス)あるが、これらは独自のものでガイドラインとなるものとはいえない。
時間
異議申立において、先行商標使用権者は後願商標の公告以前5年間の正当な使用に関する証拠を提出しなければならない。
登録商標の維持にあたり、EC規則第15条は登録商標の所有者が登録より5年以内に指定商品・役務について商標の使用を開始しなかった場合、又はこのような使用が5年間継続して中断されていた場合、CTM商標はEC規則が定める制裁の対象となる。
範囲
正当な使用は通常の取引に関するものであり、登録を維持する目的で調整されてはならない。当該使用の証拠は"書類"の項で列挙されるアイテムとともに提出されなければならない。
性質
即ち商品に糊付けされたラベル、パッケージへの印刷又は商品とは別につるされていたバッチ等、商標がどのような方法で商品に使用されていたかを示さなくてはならない。
書類
- 請求書:商品が商標とともに特定されるものであること
- 写真:商標担当の企業職員が提出する宣誓書とともに提出するとき有効である。宣誓書には商標を付した商品、使用方法、流通国、売上高及び期間に関する事実を記載する。更に、宣誓者は同人が不正な宣誓が法に基づく罰則の対象 となることを知っていることを宣誓しなければならない。
- カタログ:使用証拠が提出される国の言語で作成されるか、少なくとも英語で作成されたもの。カタログには商標を付した商品とその期間が記載されていなければならない。
新加盟国について
EU内の新加盟国
ブルガリアやルーマニア等における国内登録はセニョリティクレームを主張しているケースがある。
セニョリティクレームは通常、文字又は図形商標の同一性及び指定商品等の同一性の基準を満たさなくてはならないため、これら既存の国内商標の当該国における使用は同一のCTM商標の使用と見なされると考えられる。
独立国家共同体(CIS)
アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、モルドバ、ロシア、タジキスタン、トゥルクメニスタン、ウクライナ、ウズベキスタンはEUに加盟していないため、EU規則はこれらの国については適用されない。
まとめ
CTM商標の名声に関する疑問について、指定商品にはない商品に関しても保護されるとの回答に関連して裁判所は十分な使用についての疑問についても解答したことになるが、その解釈によれば、名声を有しないが異議申立手続において正当な使用を立証しなければならないCTM登録の通常の使用についても、当該領域は有効である。
OHIMもこの解釈を維持している("LOTUS"事件、OHIM。R1295/2007-4)。
上記により、EU加盟国の1ヶ国のみにおける真正な使用がCTM商標の保護の継続に必要な真正な使用についての要求を満たすことが明らかになった。
Rudiger Sperling氏
Staeger & Sperling事務所のシニア・パートナー。
ミュンヘン技術大学で宇宙工学と経済学の学位を取得後、1981年弁護士登録。
特にCTM商標に関する紛争のエキスパートであり、この道の大ベテラン
Staeger & Sperling事務所
1908年設立。弁護士4名と10名の専門スタッフから成る小規模事務所ながら、歴史は古く、スタッフもベテラン揃いである。
- アメリカ:改正により導入された情報不足加算料の詳細2024.12.10
- 台湾:商標の誤認混同のおそれの有無を判断する際の重要な参酌要素2024.12.10
- アメリカ:システム誤作動による放棄通知発行2024.12.10
- 中国:商標抹消登録手続きに関する指針を発表2024.12.10
- アイスランド:オフィシャルフィー改定(2025年2月15日)2024.12.10
- カナダ:オフィシャルフィー改定(2025年1月1日)2024.12.10
- アメリカ:オフィシャルフィー改定(2025年1月18日適用)2024.11.26
- リビア:書類提出時の新たな規則(2024年05月01日施行)を撤回2024.11.26