2016年のIPニュース

2016年11月15日号インドネシア:改正商標法施行 他

  1. インドネシア:改正商標法施行
  2. 中国:PRETUL判決後のOEMについて
  3. 中国:電子データ、刑事事件において証拠として採用可
  4. 中国:商標審査に関する新規則発行
  5. ASEAN:GIの強化
  6. クウェート:ニース国際分類第10版採用
  7. ベネズエラ:異議申立に関する書面確認の提出
  8. ポーランド・アメリカ:オフィシャルフィー変更

インドネシア:改正商標法施行

2014年07月08日号のIPニュース及び弊社セミナーで説明した通り、インドネシアでは商標法改正が予定されていたが、2016年10月27日付でようやく施行された。
主な改正点は以下の通り:

  • 商標の定義拡大:立体商標、音響、ホノグラムを含む
  • 出願中の商標の譲渡が可能となる
  • オンライン出願制度導入
  • 実体審査前の公告:2か月の公告期間の後、150日以内に実体審査を行い、審査終了後30日以内に登録証を発行する。
  • 更新申請の期間:期限前6か月と期限後6か月の猶予期間設定
  • 商標権侵害の罰則強化

同国はまた、マドプロへの加盟を目指している。

[出典:ZICO IP]

中国:PRETUL判決後のOEMについて

2016年02月09日号でOEM輸出品の商標使用に関する最高法院判決をお伝えしたが、同判決がその後中国の司法判決にどのような影響を及ぼすのか注目が集まっていた。同判決において、最高法院は、OEM輸出品に使用される商標は、商品の出所として機能せず、消費者が出所を混同する可能性がないとの判断を示したが、同時に本判決は案件の特定の事実と状況に基づいて判断されたものであることを強調していた。
これについて、PRETUL判決から3週間後のDONG FENG事件において、PRETULとは正反対の判決が下され注目されている。
DONG FENG事件(Shanghai Diesel Engine Co.Ltd v Jiangsu Changjia Jinfeng Dynamic Machinery Co., Ltd - 2015)において、江蘇高級法院は、OEM工場は商標権侵害を犯していないと判断した常熟(Changsu)中級人民法院の判決を覆した。
「DONG FENG+中国語」商標は中国において馳名商標であった。インドネシア企業は1987年より同一商標をインドネシアで登録し、インドネシア輸出用に本件被告のChangjiaに商標「DONG FENG」を付した商品の製造を委託した。高級法院は被告が海外の購入者の商標権を正確に確認する適切なデューデリジェンスを怠ったとした。本件において、OEM生産者は当該商標権が中国で登録された馳名商標であり、インドネシア商標の所有者が悪意で行為を行ったことを知っているはずであったと判断されている。

本件において高級法院は、OEM生産者の義務として発注者に正当な商標権があるかの確認のみならず、当該商標が中国国内で著名であるかまで認識しておかなければならないとし、当該生産者の確認義務の範囲を拡大したかにみえる。
しかし、判決文を読むとどちらかといえば、OEM生産者が知っていると考えるのが合理的(constructive knowledge、擬制的認識)か否かは個々の案件の事実に依存すると解釈すべきである。

いずれにせよ本件は、商標の使用の有無は個々のOEMの状況を見て判断されるということを示している。

[出典:Deacons]

中国:電子データ、刑事事件において証拠として採用可

2016年10月01日、最高人民法院、最高人民検察院及び人民共和国公安部が共同で『刑事捜査における電子データの収集、抽出及び再考に関する幾つかの問題に関する条項』を発行した。これにより、刑事事件において電子データは証拠として認められるようになる。電子データとは具体的にwebページ、ブログ、Wechatなどのプラットフォーム経由で発せられたメッセージ、携帯メッセージ、Eメール等のアプリケーションサービス経由で発せられた通信メッセージ、ユーザー登録情報、ID認証、電子ファイル等の情報を含む。

今まで案件によってデータ採用のアプローチが統一されておらず、この新規則によりこれらの不統一性が解決される見込みである。

[出典:MMLC Group]

中国:商標審査に関する新規則発行

2016年07月26日、SAIC(国家工商行政管理総局)は『商標登録手続の簡易化に関する改正推進に関する意見』を公布し、その一環として同年08月31日に『地方工商局又は市場管理局による商標登録出願の受理委託に関する中国規則』を発行、2016年09月01日付で発効された。
これらは商標の方式・実体審査のより広いアウトソーシングを目指すものである。

中国の商標出願数は2006年766,319件であったものが、2015年には2,835,566件と驚異的な増加を遂げ、かねてより商標局の審査に多大な負担がかかっていた。
同国において出願は審査されるまで2,3年かかるのが通常である。商標局は都度審査員を補充していたが、決定的な解決とはならず、ついに2014年07月審査の一部を商標審査協力センターに委託しアウトソーシングした。
同センターは当初出願書類が足りているかを確認し、商標が法律に違反するものではないか先行権を害するものではないかを確認する業務を行っていたが、同センターでの業務も時間がかかるようになり、審査の質に影響が出始めていた。
こうした問題を解決するため、まず北京外に出願を受理するセンターと当局を設置する。そのため既に浙江省台州と四川省雅安に出願受理局が設定され、状況に応じてその数が増やされる予定である。また北京外に設立される協力センターは実体審査を監督する。

商標局はまた、利用可能なオンライン申請方法も拡大し、現在代理人のみに可能な申請についても、出願人が直接出願、更新、変更登録、審判等もオンラインで申請できるようにし、2017年にはオンライン、商標局あるいは地元の管轄受理局のいずれかに申請可能となるよう整備を進める予定である。
国内出願に対して、商標局は出願日から3か月以内の受理通知発行を目指し、更新、名義変更及びそれに付随する手続に関して、(行政・司法手続が係属中の場合など)状況に応じて早期審査を求めることが可能となる。
また登録証明書の発行に関しても、当局は同書の代替として登録データのプリントアウトを認証し、同局において即時発行又は申請日より5日以内に郵送で返送する。国際商標の証明書に関しても同様に発行される。

国際商標の審査に関して、現在、審査官の決定は上級審査官によって確認されるが、今後は単独審査官制度を推進する。
単独審査官制度はシンプルな異議申立にも導入され、審判の迅速化を図るが、複雑なケースにおいては複数の審判官で協議される予定である。

[出典:Wan Hui Da Intellectual Property]

ASEAN:GIの強化

GI(地理的表示)制度は、国内外の競合から地元商品の出所と品質を保証する強力なスキームであるが、この頃特に東南アジア諸国において経済発展の一環として利用されている。

ラオスでは2016年10月24日から28日にかけて科学技術省知的財産局によって“GIウィーク”が開催され、ラオスの製造業者に対してGIの認識とビジネス機会の拡大について啓蒙活動が行われた。現在まで同国ではGIは登録されていないが、知的財産局は特にBolayen コーヒー、khao kai Noy米、Phongsaly茶等のGI登録を目指している。
実際、ASEANは現時点で世界でもGI登録が盛んな地域であり、この10年間で150件以上の登録がある。タイはすでに71件のGI商品を登録しているが、これはタイ政府の1地域1GI運動を実現したものである。そのためタイ政府は昨年、ラオスの“GIウィーク”同様の“GIマーケット”を開催し、タイの製造業者に広くGI登録を呼びかけている。またタイのSung Yod米はEUにおいてもGI認定され、EU市場への輸出拡大を狙う。タイ知的財産庁は今後EUの認証をより多くのタイGI商品に拡大していく方針である。
ベトナムもタイの動きに追随しており、2018年にはEUとのFTAが発効される。ベトナムはEUに対してGI相互認定として41件のGIを提示し、うち39件が認定されている。ベトナムが商品のシステマチックな品質チェックを設置し、侵害品・模倣品の流通を減少できれば、この制度はベトナム商品のEU市場導入への強力なサポートスキームとなる可能性がある。

[出典:Schmitt & Orlov]

クウェート:ニース国際分類第10版採用

クウェートでは、2017年01月01日よりニース国際分類第10版が採用される。登録済み、出願中の商標はこれによって影響を受けることはないが、次回の更新時に商品の書き換えを行わなければならない。

[出典:SABA IP]

ベネズエラ:異議申立に関する書面確認の提出

ベネズエラ特許庁は、2016年09月08日付特別公報第566号において、異議申立の当事者は係属中の異議申立手続において当該手続を維持する意思を書面で提出し確認しなければならないと公布した。
この書面は2016年11月14日までに提出しなければならない。
当該書面が提出されなかった場合、当局は当事者が異議申立を維持する意思がないと判断し、放棄を宣言する。これにより被異議商標は通常の登録手続に進むこととなる。

[出典:Clarke, Modet & Co]

ポーランド・アメリカ:オフィシャルフィー変更

2016年10月14日よりポーランドでは商標出願のオフィシャルフィーが変更された。
登録費は今後区分毎に支払うことになり、異議申立費も変更される。

アメリカにおいても2017年01月14日よりオフィシャルフィーが変更される。この変更は審判部と出願部のコストの差を調整するためのもので、いくつかのオフィシャルフィーは減少し、その他は上昇する予定である。

[出典:Kulikowska & Kulikowski, USPTO]

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