2022.07.26IPカザフタン:知的財産権法を改正し、GI保護制度を導入
カザフタン:知的財産権法を改正し、GI保護制度を導入
2022年6月20日、カザフスタンはGI保護制度の導入を含む知的財産権法に関する改正案を採択した。この改正は2022年8月21日に発効する予定である。
GIおよび商標に関する変更点は次の通り。
・地理的表示(Geographical Indications)と原産地呼称(Appellations Of Origin)
本改正により地理的表示(GI)の保護制度が導入された。地理的表示とは生産方法や気候・地域特性・風土などの生産地等の特徴が、本質的な品質等の特性に結びついている産品表示を指す。商品の品質、評判、特性に実質的な影響を与える生産の少なくとも1つの段階が、当該地域で行われていることが必要となる。
カザフスタンでは、地理的に関連する標識や名称を原産地呼称(AO)として登録することが可能である。地理的表示と原産地呼称の主な違いは、原産地呼称の方がより強く原産地と結びついていることで、産品生産のすべての段階が指定された地域で行われなければない。それ以外には、GIやAOの保護を受けるための登録手続きやその他の要件は同じである。また、GI出願をAO出願に変更することができ、その逆もまた可能である。
・商標
方式審査の期間が出願日から10営業日内であったが、1ヶ月に延長された。実体審査期間は出願日から7ヶ月間で変更は無い。特許庁が変更系の記録をする期間が1ヶ月から10営業日に短縮された。変更記録を商標権者に通知する期限も2ヶ月から5営業日に大幅に短縮さた。
現行法では自社の商品や役務と他人の商品・役務と区別することができない商標は、登録が拒絶される。拒絶を解消する唯一の方法は、識別力のない要素が商標の要部でない場合、ディスクレーム(権利不要求)をすることであるが、改正により、使用による識別力が出願日前に獲得されていれば登録の障害とはならなくなる。
また商標法に異議申立手続が導入される。今までは取消訴訟しか手段が無かったが、実体審査の段階で登録に異議を唱えることができるようになる。何人も出願公告日から1ヶ月以内に異議申立書を申請できるようになる。出願人は異議申立通知日から3ヶ月以内に反論することができる。特許庁は商標法の規定および当事者間の主張に基づいて、異議申立手続に関する決定を下す。
[出典:JD Supra, LLC、PETOŠEVIĆ]