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2023.05.23IPイギリス: NFTの分類に関するガイダンスを発表


イギリス: NFTの分類に関するガイダンスを発表

英国知的財産庁(UKIPO)は、NFTおよびメタバース内で提供される商品やサービスの分類に関する指針が盛り込まれたPractice Amendment Notice (PAN)を公表した。

欧州連合知的財産庁(EUIPO)が昨年同様のガイダンスを公表しており(ニース国際分類第12版)、英国でもそのような発表がなされることを関係者は待ち望んでいた。
UKIPOではNFTやメタバースに関連する商標出願の申請が増加しているが、出願においてこの種の用語をどのように正しく表記し、どの区分に分類するかについての指針がこれまでなかった。
今回の発表は、そのような問題への対処法と、それに対しUKIPOがどのような立場を取るかを明確にしている。このガイダンスは直ちに適用される。

ガイダンスでは次のことが確認されている:
NFT
・“NFTs”単体では本質的に曖昧なため、NFTが紐づけられている資産を示さなければ、指定商品表記として認められない。
  “Digital art authenticated by non-fungible tokens [NFTs]”は認められるであろう。
・ガイダンスは、(デジタル資産にとどまらず)あらゆるものの認証にNFTを使用できることを認識している。
  そのため、NFTにより認証された物理的な商品が明確に定義されていれば、適切な商品区分で認められる。例として、“artwork, authenticated by non-fungible tokens [NFTs]”は第16類で認められることを挙げている。
・これはオンライン市場を介して小売りされる、あるいは提供されるNFTにも当てはまる。
  たとえば、"Retail services connected with the sale of [e.g. virtual clothing, digital art, audio files] authenticated by non-fungible tokens"は第35類で認められる。
・その他のNFTの使用は、ケースバイケースで検討される。

仮想商品
・仮想商品に関する出願は、物理的な商品同様、明確に定義されている場合にのみ認められる。
  例として“downloadable virtual clothing, footwear or headgear”は第9類で認められることを挙げている。

仮想サービス/メタバース
・たとえば“education and training services delivered by virtual means”[第41類]のように、そのサービスがバーチャルで提供可能であれば、UKIPOは今後もそのような役務を認める。
・加えてUKIPOは、(ビデオ会議などの)バーチャルな手段で提供できるサービスが、メタバース内で提供できない理由はないとしている。
  そのため、メタバースを通じて提供される役務は、従来の手段で提供される役務と同区分での出願が認められる。
(例:“education and training services provided via the metaverse”[第41類])。
・しかし、特にメタバース内で提供される特定のサービスが、従来の手段で提供される役務と同じ区分に分類されない場合など、メタバースにおける全サービスでこのアプローチが取られるとは限らないことを認めている。
  ガイダンスで例示されているのは飲食物の注文に関してで、現実世界では43類の役務と見なされるが、メタバース内でのアバターによる食品の「消費」はそのように見なされないであろう。
  メタバースを通じて提供されることがはっきりと言及されているが、そのサービスがメタバース内で提供可能かが直ちに明らかでない場合は審査官に明確化を求められるであろう。
・このような役務については、たとえば“entertainment services, namely, provision of a virtual reality or metaverse based simulation gaming service”など、より一般的/全般的なサービスのカテゴリーでカバーできる可能性がある。

商品/役務が明確であることの必要性と、NFTによって認証されるものを明示的に言及する必要性に関して、英国の新しいガイダンスはEUIPOのそれと一致している。
しかし、物理的な商品とのクロスオーバーの可能性を明確に認めている点で、EUよりもさらに踏み込んだ内容となっている。
これが実務でどのように展開されるか、またこの種の商品/役務に関し、UKIPO・EUIPOが何を許容できる申請と見なし、やや異なるアプローチを取るかが興味深いところである。

またガイダンスでは、この技術分野の移り変わりは激しく、新たな発展があった場合にはガイダンスを更新する必要があることを明記している点は注目に値する。


[出典:Bristows LLP]


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