2023.12.12IP中国:商標登録の同日出願手続に関するガイドライン
中国:商標登録の同日出願手続に関するガイドライン
国家知識産権局は2023年9月27日に公式サイトで「商標登録の同日出願手続に関するガイドライン」(以下、「ガイドライン」という)を発表し、各経営主体が商標登録同日出願を正しく理解するのを支援した。
「ガイドライン」に基づいて、実務経験により同日出願手続について簡単に整理して分析する。
商標登録の同日出願に関する法律規定は主に「商標法」第三十一条及び「商標法実施条例」第十九条に記載されている。
「商標法」及び「商標法実施条例」の規定は、商標登録の同日出願について段階的な審査モデルを採用しており、「登録を主とし、使用を補充とする原則」、「出願主体の意思や自主的な管理」及び「効率への配慮」等の要素についてバランスを取っている。
「商標法」及び「商標法実施条例」を踏まえた上で、「ガイドライン」は各段階の審査手続、例外状況及び注意事項について更なる手引きを提供している。
■第1段階:使用証拠の追完段階
この段階では主に先使用の状況を判断する。
各当事者の出願人は「商標登録同日使用証拠追完申請通知書」を受領し、受領した日から30日以内に、登録出願前にその商標を先に使用した証拠を提出するよう要求される。
「ガイドライン」は、同日の出願手続における第1段階の商標使用証拠の効力について具体的な規定を設け、商標使用の概念を明確にし、使用証拠の形式、証拠の形成時期、使用類別及び標章、使用者等について具体的な要求をしている。
証拠の形成時期は出願日以前の有効な使用証拠でなければならず、かつ時期が早ければ早いほどよいことに気を付ける必要がある。
一方の出願人のみが期限内に真実かつ有効な使用証拠を提出した場合、又は一方の出願人の商標が先に使用された場合、当該出願人は商標出願権を取得し、その他の商標出願は拒絶される。
各当事者の出願人がいずれも使用証拠を提出していない場合、又は提出した使用証拠が一方の出願人の商標が先に使用されていることを証明できない場合には、当該同日に商標を出願して次の段階に進む。
もちろん、この段階では、各当事者の出願人が自発的に協議して出願権を取得する一方を確定することも認められている。
■第2段階:協議段階
各当事者の出願人は同日に使用し、又はいずれも使用していない場合、「商標登録同日出願協議通知書」を受領した日から30日以内に商標出願権の帰属を自ら協議し、書面による協議を提出することができる。
規定の期限内に書面による協議書を提出しない、又は協議が無効である場合、協議が成立しなかったものと見なす。
「ガイドライン」では協議の要求が明確になっている。
全体的に、協議書には商標出願番号、商標名称、指定商品又は役務等の必要な商標情報を記載しなければならず、かつ各当事者の出願人が協議協定において共同で署名又は押印し、協議協定締結日を明記しなければならない。
実質的な内容において、協議は商標登録の同日出願における出願権がいずれか一方の出願人に属することを明確にすべきであり、かつ、権利抵触又は他人の合法な権利を侵害する等のことがあってはならない。
■第3段階:くじ引き段階
各当事者の出願人が協議を望まない場合、又は協議が成立しない場合、「商標登録同日出願くじ引き通知書」に明記された抽選方式、時間、場所に従ってオンライン又はオフラインの抽選に参加しなければならない。
抽選に参加しなかった場合、申請を放棄したものと見なす。
「ガイドライン」は、各当事人がいずれも規定の時間に抽選に参加しなかった場合の結果、すなわち、各当事者の同一又は類似の商品又は役務に関する出願が拒絶又は一部拒絶されることを明確にした。
また、この段階において、「商標登録同日出願くじ引き通知書」が発行される前に、商標の譲渡、取下げ又は削除等により同日出願審査事由が存在しなくなった場合には、同日出願審査フローは終了する。
「商標登録同日出願くじ引き通知書」が発行された後、出願人が抽選に参加しなかった場合には、同日出願審査事由が既に存在しなくても、出願を放棄したものとみなす。
■審査手続の例外
「ガイドライン」は、商標登録の同日出願審査手続のいくつかの例外的状況、すなわち同日出願商標の一部又は全部を拒絶する状況を規定しており、以下を含む:
1.安定した先登録商標が存在すること、
2.商標法第十九条第四項の代理役務以外の商品又は役務類における代理機構の登録出願に関する規定に違反した場合、
3.商標法第四条の使用を目的としない悪意の登録出願に関する規定に違反する、
4.その他の直接却下する必要がある場合。
これまでのいくつかの事例を見ると、一般的に、国家知識産権局は第1段階と第2段階の通知書に例外的な状況を記載し、却下のリスクを提示している。
■同日出願手続の注意事項
「ガイドライン」はまた、同日の出願手続の次の注意事項についても提示している:
1.商標登録出願人は、信義誠実の原則を遵守しなければならない。
2.商標使用の証拠の効力について
3.協議について
4.くじ引きについて
5.商標登録出願人は、積極的かつ自発的に権利を行使する。
6.商標登録出願人は、その関連主体による商標登録の同日出願を回避しなければならない。
■おわりに
実際の代理において、商標登録の同日出願の場合は相対的に少ないが、この「ガイドライン」は同日出願の場合に遭遇した各出願人及び代理機関にとって非常に重要である。
今年7月に国務院新聞弁公室が行った記者会見において、国家知識産権局は悪意を持って同日に出願された212件の商標登録出願を紹介した。
今回の「ガイドライン」は、同日出願審査手続の例外的な状況の部分で「『摩飛』関連の同日商標の悪意製造事件」及び「代理機構による同日商標の悪意製造事件」の2件の事例を列挙しただけでなく、同日出願手続の注意事項の部分では、商標登録出願人がその関連主体との商標登録の同日出願を避けるべきであることにも言及している。
商標登録の同日出願は客観的に商標登録の審査期間を遅らせることになるので、出願人はその子会社、持株会社等と関連関係を有する経営主体が商標登録の同日出願をすることを極力避けなければならない。
出願人は商標登録の同日出願手続きに遭遇した場合、国家知識産権局が公布した「ガイドライン」を参照して対応するか、商標代理人にご確認ください。
(上海専利商標事業部 朱蕾、王智より原稿提供)
[出典:SHANGHAI PATENT & TRADEMARK LAW OFFICE, LLC]
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