2025.09.24IPタンザニア:輸入品は商標権を税関に登録することを義務化
タンザニア:輸入品は商標権を税関に登録することを義務化
知的財産権の執行を強化し、模倣品対策を推進するため、タンザニアは本土に輸入されるすべての商品について、商標の税関登録を義務付けることを発表した。
本制度は2025年12月1日に施行予定であり、近隣国ケニアの模倣品対策機関(ACA)の制度を参考にしたものである。
この新制度は公正取引委員会(FCC)が管轄し、「商標法」および関連規則に基づいて実施される。
規定によれば、輸入品に関連するすべての商標はFCC主席監察官に登録されなければならず、これによってタンザニア入国港での通関が可能となる。
ケニアのACA制度と同様に、FCCでの税関登録は承認日から1年間有効で、更新が必要となる。
ただし、タンザニアにおいては国内商標登録を基礎としなければならず、ケニアのように外国登録を根拠とすることは認められていない。
一方で、税関登録を怠った場合に「違法」とする明文規定は存在しない。
しかし、輸入希望者にとっては法的に義務付けられた要件であるため、税関当局はFCCと連携し、未登録の商品については模倣品とみなし、差し押さえや通関拒否の対象となる可能性がある。
国境管理と知財保護の強化という立法目的は歓迎される一方で、権利者にとっては新たなコストや事務負担となる。
本来であれば、商標登録手続きの一環として政府内部で調整可能な内容ともいえるだろう。
この制度はまだ導入初期段階にあり、今後FCCからさらなる明確化や追加情報が示される見込みである。
現時点で権利者に推奨される対応は以下のとおりである:
1.知財ポートフォリオを見直し、タンザニア本土に輸入される商品に関連するすべての商標を特定すること
2.商標が有効で更新済みであり、正しい権利者名義となっていることを確認すること
3.税関登録に必要な書類(※)を収集すること(特にライセンシー情報や、商標が付された商品の画像)
4.FCCに対応可能な代理人を選任すること(タンザニア知財庁への既存の委任状では不十分)
なお、この制度はタンザニア本土にのみ適用され、独自の知財法を有するザンジバルには適用されない点に留意が必要である。
(※)税関登録には、以下の情報/資料が必要である:
• 申請者の詳細(氏名、住所、連絡先)
• 商標権者の国籍または法人設立情報(該当する場合はパートナーや団体の情報)
• 商品の製造地
• 商標が付された商品の実物サンプル、または鮮明なデジタル写真
• 商標を使用する許諾ライセンシーの詳細
• 海外で商標を使用している親会社、子会社、または関連会社に関する情報
• 出願人名義の現行商標登録証明書の写し
• 所定の出願手数料の支払証明
[出典:Lysaght]
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