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2021.01.13IPアフリカ諸国:商標調査の課題


アフリカ諸国:商標調査の課題

商標調査はますます自動化が進み、また一元化されつつあるが、アフリカでのオンライン調査は実際そのようにはいかない。
アフリカでは現在も電子データベースのない国があり、これらの国々が有する公式記録は(紙媒体の)登録簿、ファイル、インデックスカードのみである(ブルンジ、コンゴ民主共和国、シエラレオネなど)。
また電子データベースはあっても完全でない、あるいは信頼性に問題ありとされている国もあり、これらの国々では補完的に紙媒体の記録も調査する(ガーナ、ナイジェリア、スーダン、タンザニア、ジンバブエなど)。
更に第三者による電子データベースへのアクセスを厳しく制限している国もあり、ナイジェリア、タンザニア(但し、タンザニア国籍を持つ者のみ可)の2ヵ国が唯一アクセスを許可している。
アフリカ諸国の多くでは現在も昔ながらの方法で商標調査が行われており、認可を受けた代理人は当局へ連絡を取り(あるいは物理的に出向いて)調査依頼しなければならない。
第三者がアクセス可能な電子データベースを有するナイジェリアおよびタンザニアでも、当局での手作業による調査が必要な場合が多い。
アフリカにはマドプロ加盟国がいくつかあるが、たとえばガーナ国内のデータベースに収録されている、同国指定の国際登録に関するデータは不完全で、またシエラレオネでは国際登録が全く収録されていない。
多くのアフリカ諸国では先行商標の有無を審査するのが一般的なため、事前に拒絶につながる先行商標を知ることが重要となるが、混同を生じる程類似する先行商標に直面した際に出願人を悩ます国がいくつかある。
マダガスカルでは当局による拒絶査定がなされた場合、意見書の提出あるいは再審の余地はなく、第一審裁判所への出訴が唯一の頼みの綱となる。
第一審で暫定的な判決が下された後、上級裁判所に最終的な判決が委ねられる。
これら全てのプロセスには時間が掛かり、かつ高額である。
スーダンでも同一商品/役務を指定する同一あるいはほぼ同一の商標に関して、同じように当局は裁判所に判断を委ねる。
更なる問題点として、次の2点にも触れたい。
まず1つ目に、アフリカでは商標出願から公告までの期間が非常に長く、最長24ヵ月掛かることも珍しくはない(エチオピア、ガーナ、ナイジェリア、OAPI、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエなど)。
2つ目に、アフリカで適切に商標調査を行うにはまだ機械が持ち合わせていない、同大陸を構成する国々への理解が必要となり、その多くは言語と関係する。
たとえば、多くの商標には記述的/識別性のない英単語が含まれ、多数の国では(先行商標との)混同の可能性を調べるにあたりそのような単語を考慮しない傾向にあるが、英語の理解力が低い国々では必ずしもそうではない。
これにはOAPI加盟国(主にフランス語圏)、アンゴラ、モザンビーク(ポルトガル語圏)などが含まれる。
(先行商標との類否を判断する際には、)このような問題も考慮する必要があるであろう。
なお、アフリカには50以上の国が存在するが、本記事ではアンゴラ、ブルンジ、ジブチ、コンゴ民主共和国、エチオピア、ガンビア、ガーナ、ケニア、マダガスカル、マラウィ、モーリシャス、モザンビーク、ナイジェリア、OAPI、ルワンダ、シエラレオネ、スーダン、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエを中心に扱っている。


[出典:Spoor & Fisher]


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