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2006.09.15IPEU:ブルガリア・ルーマニアのEU加盟に伴い、CTMの権利範囲地域が拡張


EU:ブルガリア・ルーマニアのEU加盟に伴い、CTMの権利範囲地域が拡張

2007年1月1日よりブルガリア・ルーマニアの二カ国が新たにEUの加盟国となる。これに伴い、CTM登録商標の権利範囲が、同日以降、これらの国にまで拡張する。

既存のCTM商標は、2007年1月1日以降、自動的に権利範囲が拡張し、新加盟国にまで及ぶこととなる。新加盟国内で、これら既存のCTM出願に対抗するためには、2006年中に同国内で出願手続を済ませ、既得権を抑えておく必要があるだろう。

注目すべき点は、2006年7月1日以降に出願されたCTM商標は、従来のEU加盟国のみならず新加盟国内における先行商標を理由とした異議申立の対象とされ得ることだ。
ブルガリア・ルーマニアに先行商標があることが明白な場合、現時点でCTM出願しても両国の国内商標が登録の妨げになってしまうリスクはすでに生じている。

他方、2006年12月31日までは、絶対的拒絶理由は、従来のEU加盟国の基準にのみ基づいている。つまり、ブルガリア・ルーマニアでは、絶対的拒絶理由の対象となり得る商標の場合、2006年中に出願されるかぎり、かかる拒絶理由を免れることができる。

新加盟国の国内登録商標は、2007年以降、セニオリティを主張することが可能である。

いずれにせよ、2007年以前になされたCTM出願の効果が、新加盟国においても、従前のEU加盟国と同様の効力(すなわち、2007年以前の時点から発生するとみなされる)を有するか否かについては確定していない。よって、現時点で新加盟国について権利取得を希望する場合には、国内出願を行っておく方がよいだろう。

解説

2007年からルーマニア語、ブルガリア語が新たなCTM公式言語として加わることになる。言語が増えることによって、厳しくなるのが「絶対的拒絶理由の要件」である。
従来、たとえ、ブルガリア語あるいはルーマニア語では識別性のない言葉であっても、EU各国の言語に照らして識別性があるかぎり、当該商標は登録可能であった。それが、両国が加盟する2007年以降は「識別性なし」と判断されることになる。両国の言語で識別性が怪しいと思しき商標を出願するなら「今のうち」ということだ。

OHIMでは、両国の加盟にそなえて着々と準備を進めている。とりわけキリル文字を使うブルガリア語を公式言語とするための技術導入は容易ではないらしい。とはいえ、OHIMにとって今回の加盟国増加は2004年の十カ国加盟に次ぐ二度目のできごとであり、過去の経験を生かした準備が入念に行われているようだ。


[出典:Mewburn Wllis LLP]


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