2009.11.10IPリビア:商標法施行細則の改正 他
リビア:商標法施行細則の改正
2009年5月7日に発布された省令第316号によって、40/1956商標法の施行細則第1,29,30及び49条が改正され、同日付で発効した。今回の改正は、以下の2つの事項に関するものである。
- 商標使用許諾契約の登録
省令第316号によれば、商標使用許諾契約の登録においては、期間を明記しなければならず、その期間は商標権の存続期間を超えてはならない。
この点、従来は、特に期間を明記する必要はなかった。なお、リビアにおいては、商標使用許諾契約の登録は、第三者に対して効力を発生させるための必須要件である。 - 登録証
本省令により登録証のフォーマットが変更された。しかし、同省令には、新しいフォーマットによる登録証がいつから発行されるのかについての記載はない。
- 解説
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「期間」は、使用権の範囲を確定するための重要な要素の一つですから、取引の安全を図る意味からしても、使用権の「期間」が明記されるのはユーザーにとって大変好ましいことです。なお、リビアでは、登録商標に基づくもののみならず、出願中の商標に基づく使用権の登録も可能です。
[出典:SABA & Co]
エジプト:マドリッド協定議定書に加盟
世界知的所有権機関(WIPO)の事務局長は、エジプトが2009年6月3日付でマドリッド協定議定書(マドリッドプロトコル)への批准書を寄託したことを歓迎する声明を発表した。エジプトによるマドリッドプロトコルへの加盟は2009年9月3日付で発効する。エジプトの加盟により、マドリッドプロトコルの加盟国は79カ国となった。
- 解説
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エジプトは、イラン、シリア、バーレーン、オマーンに続き、中東でマドリッドプロトコルに加盟する5番目(トルコも含めれば6番目)の国となりました。
高額な現地代理人費用や出願書類の準備の煩雑さを考えると、その他の中東の国々も、ぜひともマドリッドプロトコルに加盟して欲しいものです。
[出典:SABA & Co]
ドイツ:異議申立及び不服審判手続の改正
2009年10月1日付で、ドイツ商標法の改正が発効する。異議申立の理由となる範囲がCTM制度と一致することになり、また、拒絶査定に対する不服審判手続が迅速化される。
- 異議申立理由の拡大
これまで、商号等に係る権利の所有者は、これらの権利に基づき異議申立を請求することができず、商号等に類似する商標の取消は通常の裁判所に求めなければならなかった。
しかし、今後は先行する商標のみならず、先行する商業関連の標識(会社名、ドメインネーム、ワークタイトル等)あるいは対象となる商標の指定商品・役務とは非類似の商品・役務について登録された名声を得ている商標に基づき、ドイツ特許商標庁(GPTO)へ異議申立を請求できる。これは、特に、ドイツで商標権を所有しない先行する標識の権利者にとって重要な情報である。 - 不服審判手続の迅速化
GPTOから拒絶査定を受けた場合、今後はGPTOに対する再審査(Erinnerung)の請求、又は、連邦特許裁判所への不服審判(Beschwerde)の請求のいずれかを選択できるようになる。査定を受けた後、直ちに不服審判を請求できることになり、不服審判手続の迅速化が予想される
- 解説
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今回の異議申立理由の拡大により、商号等に係る権利の所有者は、自己の商号等に抵触すると考えられる商標が公告されていないかどうかについて定期的にチェックを行うべきでしょう。逆に、ドイツへ出願する前には、通常の商標調査に加えて、先行する商号やドメインネーム等に関する調査も必須になったといえます。
また、今回の不服申立制度の改正により、出願人は出願の内容や状況に応じて拒絶査定に対する不服申立手段を選ぶことができます。非常にユーザーフレンドリーな改正です。
[出典:Vossius & Partner]