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商標・著作権・特許・意匠・ドメインネームなど、知的財産権全般にわたる世界中の出来事を集約。
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2010.05.11IPオーストリア:新異議申立制度の導入 他


オーストリア:新異議申立制度の導入

オーストリアでは従来、商標権利者はオーストリア特許庁の取消審判部に障害となる商標権の取消を請求しなければならなかった。当該手続は長期に渡り費用がかさむ欠点があった。これを解消すべく、同国では商標保護法を改正し、より短期間で解決できる制度の導入を目指している。

改正法によれば、異議申立は先行登録商標(CTM商標、オーストリアを指定する国際登録商標を含む)又は先行出願に基づいてのみ請求できる。その他の権利(商号、商取引に使用される未登録の標章等)又は出願人の不誠実な行為(悪意等)に基づき請求することはできない。
更に異議申立の事由は"同一性"と"出所混同の虞"に限定され、商標の"名声"は含まれていない。

異議申立が登録から5年以上経つ商標権に基づく場合、異議申立人には当該商標が実際に使用されていること(又は使用されていない場合にはその適切な理由)の推定的証拠(prima facie evidence)を求められる可能性がある。
異議申立は登録後公告期間(3か月)に請求しなければならず、請求があった場合、当該期間終了後に出願人に通知が送付される。出願人が答弁書を提出すれば、オーストリア特許庁の法務部委員によって審理が開始される。出願人が答弁しなかった場合、商標は取消される。法務部委員の決定に対しては不服審判部へアピールできる。

なお、審判にかかる費用はすべて当事者双方の負担となり、負けた側によって買った側への費用補償が行われることはない。

改正法は2010年7月1日に発効され、当該日以降に出願される全ての商標に適用される。


[出典:INTA Bulletin Vol.65, No.8]


モンテネグロ:知的財産権に関する3つの新法採択

モンテネグロ政府は商標、意匠、半導体集積回路に関する新しい法律を検討している。

商標に関して、政府は登録までの期間を短縮化し、相対的事由に関する実体審査、異議申立制度の導入によりEU規則への対応を目指している。

新制度では、商標出願は絶対的事由のみ審査され、要件を満たせばモンテネグロ特許庁の公報に掲載される。第三者は3カ月の公告期間に異議申立を請求できる。

新法はWTO加盟に重要なTRIPS条約に対応するためのものであり、6か月後に発効される予定である。なお、意匠、半導体集積回路に関する新法は年末に発効予定である。


[出典:SD PETOSEVIC]


トルコ:食品に関する商標出願に関する新規則

トルコ農業村落省によれば、農業保護監督総局から生産許可をもらう必要がある出願人が第5、29-33類の出願をする場合、2004年5月27日付法律第5179号21条の要件を満たさなければならない。

21条によれば、食品に関連する材料又は食品のラベルは、虚偽又は食品の特徴に不正確な印象を与える、食品に含まれない特徴に言及する情報、写真、イメージ等を含んではならない。


[出典:INTA Bulletin Vol.65, No.8]


ベトナム:商標と商号に関する新法

2010年4月15日、ベトナム政府は第三者の権利を侵害する商号の登録を禁じる法律を採用した。政令第2010/43号は2010年6月1日に発効され、他の企業の商号を自社の商号、商標、地理的表示として使用することを禁止する。
同政令では、知的財産権の権利者は管轄営業許可局に商号侵害を訴えることができる。この時、権利者は自身の商号又は商標に関する権利を証明する証拠、専門機関による侵害を認定した鑑定書を併せて提出する。

営業許可局は請求のあった日より10日以内に、侵害者に対し2か月以内に商号の変更を行うよう通知する。もし侵害者が2カ月以内に変更しなかった場合、営業許可局は取締機関に通知を送る。

この政令は、商号侵害が発生した場合、侵害者の多くが営業許可局より商号の許可を得ていることを主張する慣例があり、その解決を試みるものである。


[出典:Rouse & Co.]


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