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商標・著作権・特許・意匠・ドメインネームなど、知的財産権全般にわたる世界中の出来事を集約。
注目すべき主なニュースをわかりやすい記事にまとめ、リリースいたします。

2010.09.14IPインド:ニース協定第9版採用に伴う書換えについて 他


インド:ニース協定第9版採用に伴う書換えについて

先般のIP NEWSでインドの商標区分が45区分になったことをお伝えしましたが、これに基づき、今まで42類に出願・登録されていたものについて、当初インド特許庁は全て書換えを行わなければならないと通知を出していた。
しかしながらその後、同庁は次の通知を出し条件を緩和している。

  • 登録商標/更新:現在42類を含む商標について、43-45類への書換えは義務ではない。勿論、商標権者が希望すれば書換えも可能である。
  • 公告になった商標:規定はなく、そのまま第42類へ登録となる。
  • 審査中の商標:審査官より書換えの指令が発せられる。
  • 異議申立:42類で公告となった商標について請求された異議申立は有効と見なされる。

[出典:Remfry & Sagar]


イスラエル:ディスクレームに関する新ポリシー

イスラエル商標庁はディスクレームポリシーに関する通知を発し、商標の構成要素に識別性のない部分がある場合に求めていたディスクレーム(権利不要求)について、商標の登録にあたりディスクレームを条件付けないと発表した。
但し出願商標の所有者が希望する場合、ディスクレームを要求することができるとしている。

当該通知は2010年10月3日に発効となるが、今のところ審査官がどのように適用するか不明である。


[出典:Reinhold Cohn Group]


EU:新しい慣例導入

OHIMは審査の中断と期限延長についての新慣例と、異議申立における使用証拠についての新ガイドラインを導入し、2010年09月15日付で発効される。

■審査の中断と期限延長について

異議申立において、当事者より期限延長が請求された場合、現行ではどの位の期間が認められるか決まっていなかったが、今後は1年間の延長が認られ、更なる期限延長についても同様に1年認められる。
また、期限延長期間において当事者は審査中断の終了を求めることができる。
更に、出願審査、異議申立又は取消審判において、法定期間内に請求された最初の期限延長は常に認められるが、同一期間の延長を求める更なる請求については、請求人が特別な事情にあることを証明しない限り認められない。

■使用証拠

OHIMは異議申立における使用証明に関するテンプレートを発表した。
これにはアネックスがついており、証拠がどのように構成され、どのような内容と形式であるべきかのアドバイスが掲載されている。
例えば、ページの番号付け、証拠の目的記載についてどのようなタイプの証拠が提出され、どのように構成されるかが含まれる。特にOHIMは、証拠について最大で110ページ以内に収めるべきであるとしている。
当該指令を守らない場合、その証拠は考慮されない。


[出典:OHIM]


ペルー:商標法条約加盟

ペルーは2009年11月6日付で商標法条約に加盟した。
この結果、同国への委任状等について、今まで領事証明が必要であったが、今後は認証が不要となる。
また、委任状は出願してから45日以内であれば、追加費用なしで提出できる。


[出典:Estudio Delion S.R.L.]


スイス:電子出願の導入

スイス特許庁はこの度、Eメールでの書類受付を導入した。
これにより、出願人は出願書類、回答書等を電子フォーマットで提出できる。
また、一部の書類には出願人・権利者の署名が求められなくなった。


[出典:Swiss Federal Institute of Intellectual Property]


台湾:商標輸出監視システム新規登録受付終了

商標権者、その代理人による商標輸出監視システムへの商標登録申請及び税関における検査に関する取扱方法の法的根拠である「貨物輸出管理規則(貨品輸出管理弁法)」第13条と第14条が7月8日に削除された。
これにより国際貿易局は7月9日をもって同システムへの新規登録の受付を終了した。

但し、受付が終了するまでに登録を済ませ且つ商標権が存続している案件(商標輸出監視システムに登録した商標権の最終日を基準とする)に関しては、現在も登録が有効な商標の権利者の権利確保のため、既に登録した事項(※1)について登録内容を変更する必要があるときは、商標登録料金を返還しないことを前提として、商標権者又はその代理人が現行規定により国際貿易局で手続きできる。商標権利期間の更新(商標権利期間切れ、権利存続中を含む)を申請することはできない。

また新規登録の受付終了後も、保護期間が満了するまで税関は引続き登録時の商標輸出監視システムの運営手続に基づき検査を行う。

  • 1:商標権者及びその代理人に関する情報、商標、商標特徴の記述、登録商品、商標の使用が認められた業者の情報及び商標使用商品の範囲、輸出先の国或いは地域、使用期限等

[出典:TIPLO]


中国:知的財産権税関保護条例の改正

中国税関総署ウェブサイトによれば、税関総署は「『中華人民共和国知的財産権税関保護条例』の改正に関する国務院の決定(2010年4月1日より施行)」に対する解読をした。

今回の改正は、主に次の5つの内容に及ぶ。

  1. 1. 知的財産権の届出状況に変更が生じた場合、知的財産権者は変更が生じた日から30就業日内に、税関総署にて届出の変更又は取消の手続を行う(第11条)。
    当該手続を行わなかったため、他人の合法的輸出入又は法による税関の監督管理職責の履行に対し厳重な影響を与えた場合、税関総署は利害関係者の請求、又は自発的に相応の登録を取消すこともできる。
  2. 2.裁判所が財産保全裁定を下す際の法的根拠について、商標法、著作権法、特許法のみ記載されているが、その他の実体及び手続に係る法律規定にも基づくべきであり、当該規定の適用性を増強するため、条例第23条の法的根拠に「又はその他の関連法律」を追加した。
  3. 3. 権利者による保護請求の取下に関し、第24条に(5)号として「税関が差し押さえられた被疑侵害貨物に対し侵害貨物であるか否かを認定する前に、知的財産権者が被疑侵害貨物に対する差押請求を取り下げる場合」を追加した。
    権利者による取下請求権の濫用、行政法執行秩序への影響、又は荷受人及び発送人の合法的権益への損害を防止するため、税関が当該貨物に対し侵害である認定結論を下した後に提出された権利者の取下請求に対し、税関は受け取らないものとする。
  4. 4. 押収した侵害貨物について、第27条第3項を「没収された知的財産権侵害貨物が社会公益事業に用いることができる場合、税関は、関係公益機構に引き渡し、社会公益事業に用いなければならない。
    知的財産権者に購入意思が有る場合、税関は、有償で知的財産権者に譲渡することができる。没収された知的財産権侵害貨物が社会公益事業に用いる方法がなく、かつ知的財産権者に購入意思がない場合、税関は権利侵害の特徴を除去した後、法により競売に付すことができる。ただし偽造商標付輸入貨物については、特別な状況を除き、単に貨物上の商標・標章を除去することにより該貨物を商業ルートに流入させることを許してはならない。
    権利侵害の特徴を除去できない場合、税関は廃棄処分しなければならない」に修正した。
  5. 5. 個人が持参し、又は郵送により出入国する権利侵害品の処理について第28条を第31条に修正し、「自己使用・合理的数量を超え、かつ本条例第2条に規定する知的財産権を侵害した場合、侵害貨物として処分する」とした。
    すなわち、税関が被疑侵害貨物を差し止める場合には、権利者による請求を必要とする。
    かかる知的財産権が税関にてすでに届出されている場合、税関は、職権により保護措置を取ることができる。
    税関による調査を経て当該貨物が侵害を構成すると認定された場合、税関は侵害物品を没収すると同時に、当事者に対し貨物価値の30%以下の罰金を課する。

[出典:LINDA LIU GROUP]


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