2014.08.12IP中国:馳名商標の認定と保護に関する規定公布 他
- 中国:馳名商標の認定と保護に関する規定公布
- アルバニア:知的財産法改正へ
- シンガポール:著作権法改正へ
- 香港:著作権法改正案を立法会に提出
- イエメン:公告に関するオフィシャルフィー上昇
- ニュージーランド:知的財産庁移転
- ナイジェリア:知的財産権の強化
中国:馳名商標の認定と保護に関する規定公布
中国では2014年07月03日付で国家工商行政管理総局によって馳名商標の認定と保護に関する21条の規定が公布され、30日後に施行された。
同規定は権利保護に係るプロセスの規範化を目標とし、「個別に認定、消極的に保護」を原則としている(第4条)。主な内容としては以下が挙げられる。
- 当事者が地方の工商行政管理部門に取り締まりを要請し、同部門が審査の後立件を決定した場合、立件した日から30日以内に馳名商標認定の伺いと資料の副本を併せ、上級の工商行政管理部門に報告しなければならない(第11条)。
- 上級の工商行政管理部門は、これらの資料を受領した日から30日以内に馳名商標認定の伺いと資料の副本を併せ、商標局に報告しなければならない(第12条)。
- 商標局、商標評審委員会は、馳名商標を認定する際、報告をした工商行政管理部門に回答し、立件した工商行政管理部門は商標局の回答日より60日以内に案件を処理し、行政処罰書の写しを上級の工商行政管理部門へ送付する。
当該工商行政管理部門は行政処罰決定を受け取った日から30日以内に案件の処理状況及び同決定の副本を商標局に提出しなければならない(第14条)。 - 国家工商総局商標局、商標評審委員会が案件を審査する際、地方の工商行政管理部門に関連状況を確認させる必要がある場合、当該部門は協力しなければならない(第13条)。
- 当事者が商標違法案件の審査を受ける際に、虚偽となる行為を行う、又は偽りの資料を提供するなど不正手段により馳名商標の認定・保護をだまし取った場合、主管理部門は当該案件に関連する商標の認定を撤廃する権利を留保する(第17条)。
上記の規定により、2003年04月17日付公布された「馳名商標の認定と保護に関する規定」は廃止された。
[出典:国家工商行政管理総局]
アルバニア:知的財産法改正へ
アルバニアでは法律第55/2014号が2014年07月10日付で発効された。
本改正はEUの知的財産法と同国内法を調和させる目的で行われたもので、その特徴は下記の通り。
改正法において、特許庁は出願日から3か月以内に絶対的事由に関する審査を終えなければならず、これを満たさない場合、出願人は2か月の応答期間が与えられる。
また、改正法には新たに団体商標に関する条項、悪意に基づく商標の取消に関する条項も含まれている。
[出典:SD PETOSEVIC]
シンガポール:著作権法改正へ
2014年07月08日、シンガポールは著作権改正法案を採択した。改正法は特にオンライン侵害への対応策を強化している。
改正法では、著作権者がISPプロバイダの著作権侵害に対する責任を立証することなく、直接裁判所へ侵害サイトへのアクセスをブロックするよう同プロバイダに対する命令を申請することができる。改正法前、著作権者はISPにサイトのテークダウン通知を出すことはできたが、ISPプロバイダがこれに応える義務はなかった。
この新しいスキームが適用されるのは、著作権を著しく侵害又は、侵害を助長しているオンライン上の所在地(Webサイト等)のみであり、命令の発行にあたり裁判所は以下を考慮する。
- サイトの主要な目的が著作権侵害を犯す又は助長するものであるか
- サイトが著作権を侵害する又は侵害を助長する手段のディレクトリ、インデックスを含んでいるか
- サイトのオーナー又は運営者が概して著作権を無視しているか
- 著作権侵害を根拠に裁判所命令によって他国におけるWebサイトへのアクセスがブロックされるか
- Webサイトが侵害サイトのアクセスブロックを回避するガイド等含むか
- Webサイトにおけるアクセス頻度又は取引量
命令の申請を提出する前に、著作権者はWebサイトのオーナーに対して同人のサイトが著作権侵害を犯している又は助長しており、裁判所命令を発行してもらう予定である旨の通知を出さなければならない。しかしながら、当該通知はWebサイトのオーナーが特定できない場合、著作権者が相応の努力を行ったにも拘わらず送付できなかった場合は割愛できる。
Webサイトのオーナーは著作権者の申請に対して反論する機会を与えられ、また命令が出た後も、控訴審へアピールできる。
[出典:Rodyk & Davidson LLP]
香港:著作権法改正案を立法会に提出
2014年6月18日、香港政府は立法院に2014年著作権法改正案を提出した。
同改正案については、今後、立法院において審議が行われる予定である。今回の改正案の提出に先立って、香港政府は昨年パブリックコメントの機会を設け、この度の提出に至っている。
著作権法改正案の重要なポイントは以下のとおりである。
(a) 著作権法の適用除外拡大
現行の法令上、著作権の保護と著作物の合理的な利用を調整し、利用者の表現の自由を保護するために、パロディ、風刺、引用、技術的に必要な一時的な複製、教育上の要請などといった適切な状況において、特定の目的による利用の場合には、著作権の例外とする。
尚、これらのパロディ、風刺等が「公正な扱い」の要件を満たさない場合、すなわち商業目的等に使用される場合、著作権者は侵害を主張できる。
(b) オンラインサービスプロバイダー(IPS)に対する法令上のセーフハーバーの導入
IPSのプラットフォーム上で著作権侵害が行われた場合の責任について、IPSが合理的な措置をとり、著作権侵害の存在を認識した結果、侵害を停止させるなどの措置をとる場合には、IPSの責任を限定するものとしている。
(c) 無許諾の著作物の利用に対する刑事罰の導入
(d) 技術中立的な排他的権利の導入
(e) 著作権侵害の場合の民事上の責任の算定要素の追加
[出典:Ella Cheong (Hong Kong & Beijing)]
イエメン:公告に関するオフィシャルフィー上昇
イエメンでは2014年07月01日付で省令第105/2014号が公布され、新規商標出願、更新、登録変更に関するオフィシャルフィーが上昇された。新価格は2014年8月7日から適用される。同国では公告が査定後と登録費用の支払い後の2回行われるが、両方の公告費が上昇する。
尚、新価格は8月7日以前の提出された出願には適用されない。各登録期間は3か月の猶予期間を与えられ、その間に係属中の案件を処理するが、3か月を過ぎても未だ未登録の出願には新価格が適用されることになる。
[出典:NJQ、Abu-Ghazaleh]
ニュージーランド:知的財産庁移転
ニュージーランド知的財産庁は2014年08月11日付で以下の住所に移転された。
15 Stout Street
Wellington 6011
New Zealand
[出典:IPONZ]
ナイジェリア:知的財産権の強化
ナイジェリアでは当局が商標の審査期間の順守キャンペーンを進めている。従来の規則では、拒絶理由に対しては2か月の間にヒアリング又は意見書を書面で提出しなければならないことになっているが、慣例上、この期間を過ぎても意見書を提出できた。
当局は今後、当該期間経過後は、意見書を受理せず当該出願を放棄されたものとみなすとしている。ただし、この期間は審査官の職権によって延長できるとされているため、今回の規則強化については未だ有効性が疑われる。
また、同国では著作権委員会によって、オンライン著作権登録制度も開始された。
[出典:Spoor & Fisher]
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