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商標・著作権・特許・意匠・ドメインネームなど、知的財産権全般にわたる世界中の出来事を集約。
注目すべき主なニュースをわかりやすい記事にまとめ、リリースいたします。

2017.08.22IP中国:不使用取消審判においてOEMを使用と認める判決 他


中国:不使用取消審判においてOEMを使用と認める判決

中国最高人民法院の「PRETUL」判決が下されてから1年以上経ち、早くもOEMについての概念が覆る判決が出ている。
2017年7月25日号でお伝えした「PEAK」事件に続き、このほど北京知的財産法院及び高級法院で不使用取消審判について、相次いでOEMを使用と認める判決が下された。
Distinct Seasons Sd. Bhd. (以後、「Distinct Seasons」と呼ぶ)は商標「SODA」を第25類に登録した。Distinct Seasonsはこの商標をライセンスし、中国で「SODA」を付した衣服を製造していた。商品は輸出入業者により東南アジアに輸出されていた。2013年10月、韓国企業Soda Co., Ltd.がDistinct Seasonsの商標に対して不使用取消審判を請求し、商標局及び商標評審委員会(TRAB)はいずれも不使用と判断した。この紛争は3年以上も続き、ついに北京高級法院へと進んだ。
高級法院は非公式調査を開始し、過去の判例、最高法院の判決及び提出された証拠について聴聞を行った。中国はコモンローではなく大陸法制度であるため、判例は厳密には他の中国裁判所の判断を拘束するものではないが、判事が決定にあたり参照とする。最近の司法制度改革の一環として、中国の知的財産法院は判例ガイドシステムを構築しており、欧米の判例法とは異なるが司法的基準を設定し判決の一貫性を保つ努力をしている。
標章が商標として機能するには、当該商標を付した商品が市場に流通し、消費者がこれを出所と示すものとして認識していなければならない。しかし不使用取消審判において、北京高級法院は知的財産法院を支持し、使われていない商標の数を減らし商標の使用を奨励するという不使用取消審判の法目的を考慮しなければならないとした。本件において、商品は販売のため輸出され、中国市場ではまだ流通していないものの、高級法院はDistinct Seasonsは対象商標を積極的に活用しており、不使用の状態にしていなかったと認めた。
北京高級法院は、海外取引を保護し、OEM活動の発展を奨励するため、OEMにおける商標の使用は、不使用取消審判において商標の使用と認めなければならないと判断した。
この判決は両当事者が上訴しない限り、最終判決となり、今後同様の不使用取消審判において重大な影響を及ぼす可能性がある。
進展があり次第、IPニュースでもお伝えする。


[出典:Deacons]


タイ:マドリットプロトコル加盟

2017年08月07日、タイはWIPO長官にマドリットプロトコルへの加入書を寄託した。これにより、2017年11月07日より同プロトコルが発効し、同国は99番目の加盟国となる。


[出典:Satyapon & Partners]


インドネシア:商標の税関登録可能に

2017年08月02日、インドネシアでは知的財産侵害に由来する商品の輸出入の管理に関する規則2017年20号が発効され、これにより知的財産の税関登録が可能となった。
税関登録の対象となるのは商標権及び著作権で以下の書類を提出しなければならない。

  • 権利の証明書
  • 商標に関して、真正品に関する情報(商標、指定商品、商号、外観、パッケージ、流通販売チャンネル、対象地域における販売量等)
  • 著作権に関して、科学、文学又は著作隣接権に係る作品の特徴
  • 税関登録の結果について責任を負う旨の宣誓書

必要書類は税関総局(Directorate General of Customs and Excise:DGCE)へ提出し、30日以内に登録の有無が決定される。登録は1年有効で更新可能である。
税関職員は登録情報に基づき、通関を監視し、疑義品があった場合は権利者へ連絡する。
通知を受けた権利者は2日以内に差止を希望するか税関総局に返信しなければならない。その後、権利者は4日以内に商務裁判所に提訴することになる。


[出典:Tilleke & Gibbins]


UAE:ドバイ経済発展局への商標登録可能に

ドバイ経済発展局(DED)はこの度商標登録制度を開始し、同局に登録された商標について、職員の通常の市場調査時に模倣品・侵害品の有無を確認し、疑義品を発見した場合は通知するというサービスを開始した。
同局に登録できる商標は予めUAE国内で商標登録されているものでなければならない。


[出典:Abu-Ghazaleh IP]


中国:杭州に最初のサイバー空間裁判所設立

司法制度改革の一環として2017年06月26日、中国で最初のサイバー空間裁判所が杭州に設立された。
杭州市は浙江省の中心であり、技術関連の企業が多いためネット関連の紛争も増加している。同裁判所の大きな特徴は、審理がオンラインで開催され、案件もネット関連の紛争のみとなる。
中国はサイバー空間裁判所の設立に先駆け、2015年から杭州市の3つの地方裁判所に試験的にオンライン法廷を導入していた。
サイバー空間裁判所の管轄は杭州市に限定され、オンライン販売、オンライン負債契約、オンライン著作権に関する民事紛争のみを扱う。
当事者双方は証拠や文書をオンラインで提出し、聴聞はビデオリンクを介して行われる。
裁判所の決定に不服がある場合は、中級人民法院へ再審を請求できる。


[出典:Baker McKenzie]


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