2022.07.26IPインド:デリー高等裁判所が広告ワードとしての登録商標の使用を差し止め
インド:デリー高等裁判所が広告ワードとしての登録商標の使用を差し止め
2022年4月27日、デリー高等裁判所はMakemytrip India Private Limited vs. Booking.com B. V. & Ors.事件にて、被告がGoogle広告のプログラムにおいて原告の登録商標を使用することは商標権侵害および詐称通用(パッシング・オフ)に相当するとして、使用の差し止めを命じた。
Google広告では、他者の商標が含まれるキーワードを誰でも入札可能である。そのことから、自社の登録商標が競合他社の商品やサービスの広告に使用されるのを制限するため、商標権者は自身の商標の入札やGoogle広告への投資を余儀なくされる。
裁判所は次のようにコメントした:被告が原告商標をGoogle広告にてキーワードとして使用することは、「広告」目的の使用であり、また競合他社に対し原告商標をキーワードとして予約するのを認めることで、Googleは商標権者のグッドウィルから利益を享受している。 そのような使用は、インド商標法第29条(6)(d)に基づく侵害となるであろう。加えて、被告は、それが目に見える形でないとしても、原告の商標を使用して原告のウェブサイトから自身のウェブサイトに取引が流れるよう 企てており、これは原告商標から不当に利益を得ているも同然で、インド商標法第29条(8)により禁じられている。
本ケースには、パッシングオフの核となる「詐欺」の概念が明らかに存在すると裁判所は判断した。Kerly's Law of Trade Marks and Trade Names(第15版、628及び629頁)に言及しつつも、キーワードとして商標を「目に見えない」形で使用することは、原則としてパッシングオフを構成すると裁判所は述べた。
したがって、裁判所は、Google広告のプログラムにて原告の登録商標“MakeMyTrip”をキーワードとして使用することは、商標侵害にあたるとの判決を下した。加えて、裁判所は、www.booking.comやGoogleなどの競合他社が、自らの金銭的利益のために原告商標の評判を利用すること は許されないと述べた。
この判決は、登録商標の所有者の権利保護・強化のため、またGoogle広告のようなプラットフォームにおいて、競合他社や第三者による不正使用から登録商標を保護するために歓迎すべき動きであると考える。
[出典:Rahul Chaudhry & Partners]