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2023.03.14IPペルー:記述的な単語は商標として登録され得るか


ペルー:記述的な単語は商標として登録され得るか

[記述的な商標]
記述的な商標とは、指定商品または役務の1つ以上の本質的な特性について消費者に直接指し示すような単語のみで構成される標章のことである。
産業財産法第135e条486項では、このような標章の登録を禁止しているが、これはこのような単語が対象となる指定商品または役務を識別し、販売するために必要なためである。
競合する他者の利益と権利に影響を与えるため、これらについて排他的権利を付与することはできず、何人も自由に使用できる状態でなければならない。

アンデス裁判所はこれに関し次のように定めている:
標章が記述的であるかどうかを判断する方法の1つは、登録される製品が「何」であるかを問うことで、例えば平均的な消費者が自発的に提供する答えがその製品の名称と同じであれば、その名称の記述的性質が立証されることになる。*1

[外国語商標]
外国語の単語からなる商標に関して、アンデス裁判所は、その単語の翻訳が広く知られているものでない場合、その単語は「想像が自由な記号」とみなされると定めており、その結果、そのような言葉を商標として登録することは適切であるとしている。*2
裁判所は、外国語の単語の翻訳が(ペルーにおいて)広く知られているとみなされるべきは、特に次のような場合であると定めている。
・識別しようとする商品又は役務に関連して一般的に使用されていること。
・スペイン語の訳語と共通の語源または発音的な類似性を有していること。

[外国語の記述的な単語からなる商標]
外国語で記述的な単語を含む標章には、どのような規則が適用されるのだろうか。
これは、国際分類第9類の製品を識別するための商標「SMALLRIG」の登録出願に関する事件で取り扱われた問題点である。
第一審で、競争防止及び知的財産権庁の識別標識局は、産業財産法第135e条486項に定める登録の禁止に該当するとして、次のように職権で標章の登録を拒否した。*3
事実上、出願された標章は、「SmallRig」という単語で構成されており、これは「SMALL EQUIPMENT」というスペイン語に翻訳される。この単語は、出願された標章の対象製品と共に使用される付属品を指しており、更に、カメラのサポートとして使用される付属品として市場で知られているものである。

これに対し、商標出願人は次のように主張し、上訴した。
・「rig」は語源となる単語ではなく、スペイン語の訳語である「equipo」と類似していない。
・第9類の製品の販売を専門とする様々な店のウェブページで「rig」という単語を検索した結果、何も見つからなかった。

この結果、出願人の主張が認められた。*4
この単語はスペイン語への翻訳と共通の語源や音声的な類似性がなく、英語への翻訳では消費者に理解されない可能性が高いと判断されたのである。
また、ペルーの市場で頻繁に使用されている単語でもない。
したがって、想像が自由な記号として認識されるはずである。

[出典元代理人コメント]
第一審の競争防止及び知的財産権庁は、記述的標識に関する規則を適用して問題の標章の分析を行った。
この決定は、後に第二審において、より適切であった外国語の単語を含む標章に関する規則を適用し、修正された。
外国語の単語のスペイン語への翻訳は記述的であるかもしれないが、その翻訳が一般に知られていなければ、商品または役務の特徴について消費者に指し示すことはできず、また、消費者が当該商品または役務を指定するために自発的に使用することもないだろう。
したがって、排他的権利の対象となる想像が自由な名称であるというべきである。

*1:予備審決27-IP-2001および336-IP-2015
*2:事前司法解釈73-IP-2021
*3:決議第0062-2020号/DSD-INDECOPI
*4:決議番号 2046-2020/CSD-INDECOPI


[出典:International Law Office]


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