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2018.09.26IPEU:著作権法改正案可決


EU:著作権法改正案可決

2018年07月24日号の続報である。

欧州議会は07月に否決したものの、計画段階に差し戻されたEU著作権指令の修正指令案を09月13日に可決、承認した。これで、2019年01月に行われる最終投票によって通称「リンク税」を認める改正著作権指令が成立する公算が高まった。
改正著作権法で大きな議論に挙がっているEU著作権指令11条と13条については微修正が加えられたものの、その骨子にブレはなく、改正著作権法の成立によってGoogleやFacebook、YouTubeなどのアメリカの大手ハイテク企業に大きな負担が課される内容になっている。

◆11条(リンク税)
改正著作権指令第11条は、「加盟国は、加盟国のパブリッシャーに対し、情報社会サービスプロバイダによる報道出版物のオンライン利用に対して、情報社会指令第2条及び第3条第2項に定める権利を付与しなければいけない」と規定している。これは、外部のウェブページ上にリンクを貼る行為を複製権や公衆送信権の対象にすることで、ウェブ上のコンテンツの権利者に著作権料の請求権を認めるものである。

リンクを貼る行為に対して使用料が請求される可能性があることから「リンク税」という呼び名で広く知られるようになったが、著作権料を請求できるのは出版社などのコンテンツ制作者(権利者)であり、EU加盟国(行政)ではないので正しくは「税」ではない。
EU著作権指令に基づく著作権法の実際の運用はEU加盟国ごとに異なるため、具体的にどのような行為について著作権使用料が請求されることになるのか現時点で明確ではない。しかし、11条第1項には「第1段落の権利(リンク税)は、報道出版物の重要ではない部分の利用には適用されない」という但書きがあるため、「単なる文字列としてのリンク」の貼り付け行為に対して利用料が請求されるわけではないようだ。

もっとも、欧州議会は改正著作権指令の趣旨について「ハイテク巨人はアーティストやジャーナリストに対価を支払わなければならない」と述べ、具体例として検索結果表示における「スニペット(プログラミング言語の中で簡単に切り貼りして再利用できる部分のこと、または、検索エンジンによる検索結果の一部として表示される、Webページの要約文のこと)」が挙げられており、Google検索のようなサービスが捕捉されることは確実といえる。

◆13条
改正著作権指令13条は、SNSなどのコンテンツ・プラットフォームの提供者に対して、プラットフォーム内のコンテンツが著作権法に反していないようチェックし対応する義務を課すもの。具体的には、YouTubeで違法なムービーがアップロードされないようYouTubeにチェックを義務づけ、仮に違法ムービーがアップロードされ視聴された場合には、YouTubeに対して責任を求める。

改正著作権指令13条がターゲットとしているのは、YouTubeなどのムービー提供者やFacebookのようなSNSプロバイダーで、違法な著作物を共有するユーザーの利用を停止する義務がサービス提供者に要求されることになる。
改正著作権指令はアメリカの大手ネット企業をターゲットにしており、2019年01月に正式に可決・成立し、EU加盟各国に改正著作権法として導入されれば、Google・Facebook・YouTubeなどは対応が避けられず、サービス内容に制約が課せられる可能性が高い。


[出典:GigaZiNE]


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