2019.01.16IPEU:食品の味は著作権で保護されるのか
EU:食品の味は著作権で保護されるのか
最近、欧州司法裁判所において食品の味についての興味深い判決が下された。これはチーズの味をまねされたとして著作権保護を訴えて起こされた裁判に関してのものである。
2007年、オランダ企業のLevolaはクリームチーズとハーブを混ぜた塗れるチーズ「Heksenkaas」を別名「witches’cheese(魔女のチーズ)」として開発・発売した。その後、2014年にSmildeという別のオランダ企業がHeksenkaasと似た材料で作った「Witte Wievenkaas」というチーズを「wise women’s cheese(賢明な女性(魔女の意)のチーズ)」という別名で販売開始した。Levolaによれば、「Witte Wievenkaas」は「Heksenkaas」と同じ味であり、同社は「wise women’s cheeseは著作権の侵害だ」としてSmildeを提訴した。「食べ物の味は著作権で保護されるか」を巡り両者は争っていたが、2018年11月13日に欧州司法裁判所はついに「味は著作権で保護できない」と結論を下した。
欧州司法裁判所によると、著作権を主張するためには味が「作品」として分類できる必要があり、以下の2つの要件を満たす必要がある。
・対象が著作者自身の知的創作物であるという意味で独創的であること
・著作者自身の知的創作物の表現を形成する創造物のみが保護されること
本件において、特に2番目の要件が満たされていないと判断された。著作権の基本的要件として、アイデア、方法、レシピ、方法などでなく、明確な表現のみが保護の対象となり、味に関しては客観性と正確性に欠けると判断された。これは法的安定性を保つために重要であり、対象は、競合他社や裁判官まで含めた第三者が保護の対象となるものを正確かつ明確に特定できるものでなければならない。この点、絵画や音楽と比較し、味は個人によっても異なり、個人によって変化し主観的なものであると判断された。
上記の理由から、欧州司法裁判所は「食べ物の味について、1つの味が別のもう1つの味と異なると判別する正確かつ客観的な技術的手段は、現時点の科学では開発できない」とし、Levolaの訴えを退けた。
[出典:AKD NV]