2007.08.21IPロシア:税関登録
ロシア:税関登録
ロシア税関当局では、知的財産権の保護措置として、事前申請を行った商標権・著作権等の所有者に対し、模倣品の通関に際し、通知を行っている。並行輸入品も保護措置の対象であることから、並行輸入品対策を求める日本企業に対し、事前申請を行うよう呼びかけている。
2007年3月29日に開催された「ロシア連邦税関局の知的財産権保護に関する取り組みについて」の講演の中で、ロシア連邦税関局の知財・情報製品移動管理課長であるセルゲイ・シュルィギン氏が知的財産保護制度の概要、活用メリットについて以下のように解説した。
- 通関時の保護措置対象となるのは、「商標権」「著作権」「原産地表示」で特許権は対象外である。
- 保護申請に必要な書類は、ロシア特許庁への出願書類あるいはWIPOを通じて商標登録を行ったことを示す書類等である。
- 上記のほか、税関職員が商品の判別を行う際にポイントとなるような情報を添付することも可能である。
- 申請情報はデータベース化され、すべての税関支所に通知される。
- 税関による保護措置により、違反者と判断された場合、商品の没収、最低賃金の400倍の罰金の支払いが命じられる。
- 通関手続が済んで市場に出回ってしまった商品に対しても税関の検査が行われることもある。
- 通関時のみならず販売時でも税関は模倣品や並行輸入品の摘発ができる。
- 解説
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シュルィギン氏の説明によると、日経企業の登録申請は今のところない。
登録者のほとんどはロシア企業であるが、EU企業が25%、米国企業が15%を占めている。ロシアを販売市場と考えるならば、ロシア国内での商標登録および税関への保護申請について検討すべきということ。ちなみにロシアで商標登録を行う際には、「キリル文字」での登録についても考慮する必要がある。英文字商標さえ登録しておけば、第三者による類似のキリル文字商標の登録を100%防ぐことができるとは限らないためだ。英文字商標を音訳するか翻訳するかで、キリル文字の構成が違ってくる。
これは、中国に出願する際と同様の問題。英文字とキリル文字の二段併記で出願する方法も考えられるが、英文字のみの使用、キリル文字のみの使用では、登録商標の使用とみなされないといった危険があるので要注意である。参考:INTA Bulletin July 15, 2007 Vol 62, No.13
[出典:通商弘報]