2008.08.26IPCTM商標の効力範囲 他
CTM商標の効力範囲
OHIMはイギリス領ガーンジー島におけるCTM商標の有効性につき言及するとともに、CTM商標の効力範囲につき以下のとおり明確化した。
EU加盟国の国内商標権が及ぶ下記の領域については、CTM商標権で公式に保護される。
マルティニーク | Martinique | フランスの海外県 |
---|---|---|
グアドループ | Guadeloupe | フランスの海外準県 |
ギアナ | Guyane | フランス領 |
レユニオン | Reunion | フランスの海外県 |
オーランド諸島 | Landskapet Aland | フィンランド自治領 |
アゾレス諸島 | Arquipelago da Madeira | ポルトガル領 |
マデイラ諸島 | Arquipelago da Madeira | ポルトガル領 |
カナリア諸島 | Canarias | スペイン自治州 |
セウタ | Ceuta | スペイン領 |
メリリャ | Melilla | スペイン領 |
ジブラルタル | Gibraltar | イギリス領 |
EU加盟国の国内商標権が及ぶ下記の領域については、CTM商標権では保護されない。
北キプロス | The northern portion of Cyprus | キプロス共和国 |
---|---|---|
グリーンランド | Greenland | デンマーク領 |
フェロー諸島 | Faroe islands | デンマーク領 |
ポリネシア | Polynesie francaise | フランス領 |
ニューカレドニア | Nouvelle-Caledonie | フランス領 |
ウォリス・フツナ | Collectivite des Iles Wallis et Futuna | フランスの海外準県 |
南極フランス領 | Terres australes et antarctiques francaises (TAAF) |
フランス領部分 |
マヨット | Mayotte | フランス領 |
サンピエール島・ミクロン島 | Saint-Pierre et Miquelon | フランスの海外準県 |
サンマリノ | Repubblica di San Marino | サン・マリノ共和国 |
バチカン公国 | Vatican City | バチカン公国 |
フォークランド諸島 | Falkland Islands | イギリス領 |
ガーンジー島 | Guernsey | イギリス王室の属領 |
ジャージー島 | Bailiwick of Jersey | イギリス王室の属領 |
マン島 | Isle of Man | イギリス王室属国 |
キプロスはEU加盟国ではあるが、北部は独自の登録制度をとっており、当該地においてはCTM商標権は適用されない。またジャージー島とマン島に関しては、現地当局がCTM商標の有効手続きを取り、同様の手続きがガーンジー島でも行われる。ケイマン諸島については、CTM商標権の拡張手続きが必要である。
- 解説
- ヨーロッパ諸国には、飛び地領土を持っている国が結構ある。
各地域ともそれぞれ歴史的な背景があり、領から独立国になりたいと思っている地域もあるようだ。たとえば北キプロス。
キプロス共和国自体は、EU加盟国。ギリシア語とトルコ語が公用語とされていることからもわかるように、もともとギリシャ系住民とトルコ系住民が混在する複合民族の国だった。ところが1974年、トルコ共和国に後押しされて、北キプロス地域(フォマグスタ地区、キレニア地区全域とラルナカ地区およびニコシア地区の一部が北キプロス領)が北キプロス共和国として分裂(ただしトルコ以外は独立国家として認めていない)。キプロス共和国とは事実上、南部のギリシャ系住民がいる地域のみを指し、北キプロスにまで効力は及ばないというわけだ。
[出典:E-Mark News Letter Summer08]
ポルトガル:使用意思宣誓書の廃止
2008年7月25日付政令148/2008号は登録日以降5年毎に使用意思宣誓書の提出を定めたポルトガル知的財産法第256条を廃止した。同政令は2008年10月1日より発効するが、前法制化において期日を過ぎても宣誓書を提出していない商標権に関しては、自動的に適用される。
従って、今後は使用意思宣誓書を提出する義務はなくなった。
- 解説
- 従来法では使用意思宣言を行わなければ、商標はもはや使用されていないものと推定されるとあった。期日を過ぎても宣誓書を提出していない商標権についても自動適用されるとはありがたい話。
[出典:J. Pereira da Cruz, S.A]
ナイジェリア:商標公報発行予定
信頼筋からの情報によれば、ナイジェリア特許庁より商標公報が近々発行される予定である。
公報は2008年07月30日に発行され、数日後一般に販売される。これは今年2回めにあたる公報発行であり、第1回目は2008年06月06日に発行された。
公告日以降、ナイジェリア商標法下では2ヶ月の異議申立期間がある。従って、今回の公報に掲載された商標は全て2008年09月30日が異議申立期限となる。同期間は延長申請不可である。
- 解説
- 2006年11月、知的財産機構を設立、2007年3月のサービスマーク導入、そして、商標公報の発行にいたった現在。たかが公報?されど公報。まあ、よくぞここまでたどり着いたという感あり。
[出典:JACKSON, ETTI & EDU]