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商標・著作権・特許・意匠・ドメインネームなど、知的財産権全般にわたる世界中の出来事を集約。
注目すべき主なニュースをわかりやすい記事にまとめ、リリースいたします。

2015.02.24IPカナダ:商標の税関登録可能に 他


カナダ:商標の税関登録可能に

カナダでは侵害品対策法が2015年01月に施行され、水際対策に関する新規則も併せて発効された。これに基づき、同国において登録商標と著作権を税関当局(CBSA: Canada Border Services Agency)に登録することが可能となった。
税関に登録できる商標はカナダにおける登録商標である必要があるが、著作権に関しては登録・未登録を問わない。

まず登録商標又は著作権の所有者はCBSAに援助申請(Request for assistance)を提出する。疑義品が通関した場合、CBSAは申請書の情報に基づき、権利人に当該商品の詳細を連絡する。この時、商品サンプル、商品所有者の名称、連絡先、量、輸出入業者、製造国、輸入日等の情報も併せて伝えられる。権利人はこれらの情報に基づき真贋鑑定を行い、民事上の救済措置を求めるか否かを決定する。税関に登録された情報は権利人が救済を求めるためだけに利用され、法定外での解決にも利用できる。

疑義品は通常10日間(傷みやすい商品に関しては5日間)差し止められ、権利人は更に10日間の延長を申請できる。権利人が訴訟手続を開始した場合、当該品は審理終了、裁判所のリリース命令又は権利人の同意を得られるまで差し止められる。

税関登録にあたっては以下の情報が必要となる。

  • 権利人の名称、連絡先、代理人等の情報
  • カナダの登録商標又は著作権登録番号
  • 真正品に関する詳細(商品やパッケージの特徴等)
  • 指定商品に関するHSコード
  • 把握している正規輸入業者リスト
  • 把握している侵害品流通業者

税関登録にはオフィシャルフィーは発生せず、1回の申請で登録できる商標・著作権の数にも制限はない。登録の有効期間は2年で、更新可能である。
なお、登録手続を除き、実際に侵害品を差し止めた場合、担保金、保管費用、廃棄に係るオフィシャルフィー等が請求される可能性はある。
また、民事訴訟で権利人の主張が認められなかった場合、裁判所から損害賠償の支払を命じられる可能性もある。


[出典:Gowling lafleur Henderson LLP]


モロッコ:産業財産権法改正(続報)

2015年2月10日号でもお伝えしたが、改正法の詳細が以下の通り判明した。

  • 登録前の実体審査
  • 分割出願の導入
  • 新しい異議申立制度
    異議申立期間は公告日から2か月で、国際商標の場合、国際公報掲載日の翌月の1日から2か月となる。
    出願人が2か月以内に答弁書を提出しなかった場合、商標庁は異議決定を下す。答弁書が提出された場合、異議申立人はその旨を通知日から1か月以内に弁駁書を提出できる。
    その後、両当事者は1か月以内に意見書(Observation)を提出できる。
    審理に係る期間は6か月で、当事者のいずれかが正当な理由に基づき商標庁が認めた場合は3か月の延長が可能となる。
  • 日付確定制度(ソロー封筒)の導入
    創作日の証明に関してソロー封筒制度が導入された。この日付確定制度の有効期間は申請日から5年となり、紛争時等に利用できる。
  • 税関職員は輸入品のみならず、トランジット及び輸出用の疑義品に関しても差止る権限を有する。
  • 出願中の商標に関する譲渡・使用許諾が認められた。

[出典:Cabinet abeis, Saba & Co]


エストニア、シリア:オフィシャルフィーの変更

エストニア特許庁ではオフィシャルフィーの改正により、100EURO以下のオフィシャルフィーが改正され、引き上げられた。100EUROを超えるオフィシャルフィーに関しては5EURO の上昇が行われた(例:140.60EUROの場合、145EUROへ)。
シリアでも内部通産消費者保護省の省令1999号により、公告費及び調査費用が2015年01月01により上昇した。この上昇は出願、更新及び変更登録の公告に適用される。


[出典:SD PETOSEVIC, NJQ]


フィリピン:第三者サービスプロバイダの著作権侵害に関する責任明確化

フィリピン知的財産庁(Intellectual Property Office of the Philippines, IPOPHL)は、ショッピングモール、不動産業者及びISPプロバイダ等、第三者サービスプロバイダに対して著作権侵害の防止を要求した。IPOPHL エンフォースメント局は直近の勧告おいて、侵害行為の通知を受けている第三者の侵害行為により利益を得る如者も、侵害行為を行う者の行為を制御する権利及び能力を持つ者も、著作権侵害として有罪とすると述べた。
第三者の侵害行為に物質的な貢献を行い、誘発し又は当該行為を認識する者も民事責任を負い、損害賠償を請求される。
フィリピン知的財産法とされる共和国法第 8293号の改正法又は共和国法第 10372号は、第三者サービスプロバイダの著作権侵害に対して民事及び刑事責任を科している。


[出典:Manila Standard Today]


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