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商標・著作権・特許・意匠・ドメインネームなど、知的財産権全般にわたる世界中の出来事を集約。
注目すべき主なニュースをわかりやすい記事にまとめ、リリースいたします。

2015.04.28IPOAPI:マドプロ加盟をめぐる緊張 他


OAPI:マドプロ加盟をめぐる緊張

OAPIのマドプロ加盟をめぐり、OAPIと弁護士の間で紛争が起こっている。
OAPIは先週、IPカウンセル団体(Collectif des Conseils en Propriete Industrielle)の設立を宣言したが、これはOAPIのマドプロ加盟を不正であるとし、その決定を覆そうとするエージェントの団体である。OAPIはその宣誓において、この団体に直接関連するメンバー及び法律事務所に関して、OAPIに関する特許、商標、意匠権等の出願、異議申立、不服申立及び変更登録等一切の法律行為を代理することを認めないと断言し、これを「予防措置」と記述した。
これに対しカウンセル団体は、資格停止の宣言を「OAPIの不正で恥ずべき下劣な」脅迫であると応答し、OAPIを指定する国際登録商標に対して国内裁判所へ提訴する意向を表明していた。

その後、カウンセル団体の公式スポークスマンであった弁護士が、2015年04月13日付でOAPI代理人の職を失ったことが判明した。当該弁護士はカウンセル団体のメンバーであることを公にしていた唯一の弁護士であり、同人が職を失う前にOAPIのスタッフが同弁護士の所属事務所を訪問していた。
この件についてOAPIの法律部門長は、「OAPIは反マドプロキャンペーンに組する事務所とは、国際商標登録の事案について協力しないことを決定した。現在も、他の事務所がこのキャンペーンに介入していないか調査中である」と表明した。
これについて、カウンセル団体の代表は匿名でWIPOに仲裁を依頼した。同氏によれば、同団体はマドプロに反対しているわけではなく、マドプロへの加盟にあたって法律違反があったことに対して批判している。OAPIの設立以降、このような矛盾に直面したことは初めてであり、表現の自由が国内法によっても国際法によっても認められているにも拘わらず、実に恥ずべき状況であると説明している。

一方WIPOは今回の紛争について、OAPIのマドプロ加盟はOAPIとその加盟国の間の内部の問題であり、同機構が介入すべき問題ではないと判断している。しかしながら、マドプロ加盟によってこのような紛争が起きたのは初めてではなく、メキシコやコロンビアでも過去に同様に事態が発生している。
仲裁者がいない中、OAPIにおいて事態はますます混乱することが懸念される。


[出典:WTR]


レバノン:委任状の領事認証必要に

レバノン経済産業省は、知的財産権に関する委任状について、2015年05月01日以降海外からの出願人は全て領事認証を得なければならないと公布した。委任状の認証は内国人にも求められ、2015年04月10日以降の手続には全て認証が必要となる。


[出典:Fady J. Sarkis]


UAE:異議申立に関する特別プロジェクト開始

UAEは現在審理中の異議申立案件について特別プロジェクトを開始し、全ての案件についてヒアリングを開催し、その後直ちに決定を下すことで審理の遅延を解消する予定である。
現在同国において異議申立案件がある方は、現地代理人へステータスを確認することをお勧めする。


[出典:Saba & Co]


UAE・イスラエル・スーダン・ガザ:オフィシャルフィー変更

UAEは現在でもオフィシャルフィーが最も高い国の1つとして知られるが、2015年05月29日より知的財産権に関するオフィシャルフィーが全般的に約2倍上昇することが判明した。これはUAE閣議決定第9/2015号で公布されたもので、特に商標出願費用は現在のAED6,000からAED12,000に、更新費用はAED5,000からAED10,000へ上昇する。これは現在のレートで約20万円近い上昇となるため、同国への新規出願、更新が必要な場合は早めに手続きされることをお勧めする。

スーダンでも2015年03月01日より、ガザでも2015年04月01日よりオフィシャルフィーが上昇している。

一方イスラエルでは2015年01月01日より出願に係るオフィシャルフィーがわずかだが減少している。


[出典:Abu-ghazaleh]


カンボジア:商標手続に係るプラクティスの変更

カンボジアではこの都度商標手続に係るプラクティスの変更が行われる予定で、今後、出願及び更新時には申請書類の原本提出が必要となる。コピーの提出も可能だが、その場合は申請日より60日以内にカンボジア知的財産庁に原本を提出しなければならない。
また、使用/不使用宣誓書についても登録日より5年目から6年目の間に提出しなければならず、これ以前に提出しても受理されなくなる。
このプラクティスの変更は2015年06月01日又は09月01日からの開始を予定している。


[出典:KENFOX IP & LAW OFFICE]


中国:2014年度著作権登録が121万件以上に

中国では2013年に作品、ソフトウェア、担保等の登録件数が100万件を突破したが、2014年度、更に登録件数が増加し、合計で121万1313件に達した。
その内訳は作品が99万2034件(前年比17.39%増)、ソフトウェアが21万8783件(同33.12%増)、著作権担保登録が496件である。
特にソフトウェアの登録件数が急激に増加しており、2014年度は初めて20万件の大台に乗った。これは中国国内ソフトウェア産業の環境改善によりソフトウェアの開発能力が向上した結果と思われる。


[出典:中国知識産権資訊網]


中国:ネット上における実名登録に関する新規則

中国インターネット規制当局(CAC)は、「インターネットユーザーアカウントネーム管理規則」を公布し、2015年03月01日より実施した。これによりインターネット上で、外国の首脳の名前や、国家機関、メディア、その他の所轄官庁の名称、また有名人や公人の名前を、ユーザー名として使用することが禁止され、中国のネットユーザーは、インターネットサービスでアカウントを作成する際に、実名を登録しなければならない。

これに伴い、ISPプロバイダは新しいアカウントの登録の際には実名を確認しなければならず、ユーザーネーム、肖像、イントロその他の登録情報が不適切又は不正なものでないことを確保しなければならない。更にISPが登録情報に虚偽の情報を発見した場合、ユーザーに訂正を求めたり、アカウントの削除又は停止を行わなければならない。
この新規則はしかし、ユーザーの身元確認のために必要な書類等を特定していない等曖昧な部分も多く、またユーザーが違反した場合の罰則も定めていない。

その一方で本規則は紛争時におけるデジタル証拠に関する特別規定等注目すべき規則を設けている。
2015年02月04日から施行された「最高人民法院による『中国民事訴訟法』の適用に関する解釈」では初めて(中国法において正式に認められる証拠としての)「電子データ」について「Eメール又は電子データの交換、オンラインチャット記録、ブログ、SMS、電子署名及びドメインネームにより電子媒体において掲載され又は保存される情報」と定義されたが、上海裁判所は最近の案件において、オンラインチャット履歴をチャットの当事者の本当の身元を証明することが不可能であるとし、証拠として採用しなかった。

新規則はこのようなケースにおいてユーザーの身元証明を容易にし、中国におけるデジタル証拠の改善に大きな役割を果たすと期待される。


[出典:Seyfarth Shaw LLP]


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