2015.06.09IPベネズエラ:オフィシャルフィーの上昇による混乱 他
ベネズエラ:オフィシャルフィーの上昇による混乱
前号でベネズエラのIP業界全般に係るオフィシャルフィーの上昇に関してお伝えしたが、2015年05月05日付で採択された税金法に基づき、ベネズエラ商標庁は新しいオフィシャルフィーを発表した。オフィシャルフィーの上昇が発表されたのは商標出願の登録、更新、名称・住所変更、名義変更、ライセンス登録に関する費用である。しかしこれらの上昇が例えば更新費用が170USDだったものが、2,381USDに上がるなど全般的に100%を超える大幅な値上げであり、更に海外からの申請人に対しては支払を市場で最低の為替レートで変換した米ドルで支払うよう定めている。
商標庁は更に2015年05月22日付で同庁へのオフィシャルフィーの支払適用される為替レートを1USD=6.3Bsとする通知を公布した。オフィシャルフィーの上昇は2015年05月28日から適用されている。
現在、ベネズエラ知的財産弁護士協会がこの決定の無効を求め最高裁判所に提起しているが、同国におけるIP業界は混乱しており、同国における手続が必要な申請人はオフィシャルフィーについて代理人によく確認することをお勧めする。
[出典:Hoet Pelaez Castillo & Duque]
フランス:オフィシャルフィー上昇延期
前号で2015年07月01日からのオフィシャルフィーの上昇をお伝えしたが、“技術的問題”により上昇の時期が延期されることになった。具体的に何時からオフィシャルフィーが上昇されるかは明らかとなっていない。
詳細が分かり次第、IPニュースでお伝えする。
[出典:Desbarres & Staeffen]
台湾:海外における先使用に基づき冒認出願を防ぐ可能性
台湾商標法は商標の保護について、使用主義ではなく先願主義を採用しているため、先に使用していても未登録の商標は、原則として、保護を受けることができない。しかし同国は例外的に一部条文に使用主義の精神を取り入れ、未登録であっても先に使用している商標について、事情を斟酌し保護している。商標法第30条第1項第12号には、同一又は類似の商品・役務について、他人が先に使用している商標と同一又は類似のもので、出願人が当該他人との間に契約、地縁、業務上の取引又はその他の関係を有することにより、他人の商標の存在を知っており、意図的に模倣し、登録出願した場合、登録することができない、と規定されている。
いわゆる「先に使用している」商標については、台湾国内での使用に限定するのか、台湾以外の国又は地域での商標使用も含まれるのか、疑義がないわけではない。厳格な属地主義に基づけば、台湾国内での使用にのみ限定されるように思われる。
最高行政裁判所の103年(2014年)度判字第23号判決は、商標無効審判事件に関する知的財産裁判所の102年(2013年)度行商訴第4号行政判決を不服とする上訴事件について、知的財産裁判所の見解を支持し「商標法の、他人が先に使用している商標を冒認出願しても登録できないことに関する規範は、未登録だが台湾国内外で先に使用されている商標すべてについて事情を斟酌し保護を与えるものであり、台湾国内で先に使用されている商標に限定していない」と判示している。その後、知的財産裁判所は、103年(2014年)度行商訴字第57号行政判決においても最高行政裁判所の103年(2014年)度判字第23号判決の主旨を援用し、同じ見解を採用している。
知的財産裁判所の103年(西暦2014年)度行商訴字第57号行政判決はさらに一歩踏み込んで、「いわゆる『先に使用している』商標とは、係争商標に対して、相対的に先に使用している商標を指し、絶対的に先に使用している商標に限定するものではない。たとえ、無効審判請求の引用商標よりも早く並存登録又は使用されているその他の商標があり、当該引用商標は無効審判請求人が創出した又は一番最初に使用したものではなかったとしても、係争商標の登録出願前に、当該引用商標が同一又は類似の商品において同一又は類似の商標図案を使用してさえいれば、本条項は適用される」と判示している。
以上の判決を見る限り、日本企業が台湾で第三者に商標を先取りされてしまった場合でも、日本における先使用に基づき取り消す可能性が確認されたかのように見えるが、弊社が台湾代理人に確認したところ、以下の見解を得られた。
他人の先取り登録に対し、先に同一・類似の商標を使用して、周知著名になっていることを根拠に異議申立や無効審判をかけた場合、基本的に台湾における使用事実を提出しなければならないが、台湾以外の国において使用して既に周知著名となり、かつ当該周知著名性も台湾までに及んでいる場合、当該海外の使用実績をもって使用証拠に充当することができる。ただし、周知著名性も台湾までに及んでいるかいなかの判断については、台湾の消費者が当該海外における使用事実を接触できるか否かに関わっている。仮に、当該『接触』(例えば、広告を掲載する雑誌が台湾にも輸入販売されている、コマーシャルも台湾国内で放映されているなど)という事実を証明できなければ、認められない可能性がある。よって、日本における先使用に基づき請求すれば、勝てるかどうかはケースバイケースで判断されることになる。
従って、日本の先使用を主張すれば必ずしも無効に成功できるというわけではないが、台湾最高行政裁判所及び知的財産裁判所は上記の判決において「先に使用している」商標の意味を明確にし、商標を先に使用している権利者に対しても十分な保護を提供していたと言えよう。
[出典:Lee & Li International]
ベトナム:2014年の商標登録出願において日本が第2位に
科学技術省知的財産局の統計によると、2014年におけるベトナム商標登録出願件数は33,000件だった。国別でみると、出願件数が多い順に、アメリカ(1,713)、日本(1,295)、中国(904)、韓国(785)、タイ(519)で、日本は第2位を占めている。
ベトナムでは薬品や食品、ブランド品等の模倣品・偽造品の生産、販売が横行しており、知的財産権の侵害が依然として深刻な状況にある。2015年04月01日にはフランスのルイ・ヴィトンがホーチミン市商工局傘下の市場管理局と偽造品取締の協力に関する覚書(MOU)を締結し、同局が偽造品の取締で直接企業と提携した初めてのケースとして話題となった。
[出典:viet-jo.com]